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「私、アルネ・エドゥアルド・クラルは、フェリックス・エディン・ラヴィゲール殿下の求婚を、受け入れます!」 「アルネ……!」  エディンもまた、胸に飛び込んで来たアルネをしっかりと抱きしめた。 「やったぁ!」  オアニアが、晴れやかな声を上げた。 「大変……良うございましたな……!」  医師は目頭を押さえ、感動の涙をこらえている。  しかし、このまま感涙に流されてしまうわけには、いかない。  顔を上げ、慎重な声を若い二人に掛けた。 「ではまず、アルネ殿下の御母堂・アミエラ妃のお許しをいただかないと」  それもそうだ、とアルネもエディンもうなずいた。 「明日、アミエラ妃に面会する。仮王陛下にも、だ」 「僕も、同伴します」  彼らの返事を快く聞いた後、医師はアルネの肩に両手を置くと、エディンから引き離した。 「ならば今宵は、お休みください。睡眠不足は、脳の大敵ですからな」 「えっ……」  アルネもエディンも、気をそがれてしまった。

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