319 / 372
4
さっさとアルネをベッドに潜らせ、掛布を被せてしまう、医師だ。
アルネもエディンも、実に残念な気持ちでいっぱいだった。
(今夜はこのまま、エディン様と愛し合いたかったのにな……)
(今夜はこの後、アルネとの愛を確かめ合いたかったのだが……)
年配の医師は、二人の思いなどお見通しなのだ。
(こうなった以上、初夜は特別な日に行わねばなりませんからな!)
「さぁさぁ、フェリックス殿下は、御退室を。アルネ殿下、ゆっくりお休みください」
エディンは医師に背中を押されて、寝室から半ば強引に出されてしまった。
「アルネ、良い夢を!」
「エディン様、おやすみなさい!」
声を掛け合うことが、精いっぱいの二人だ。
それでも深い愛は、声に乗せて交わしていた。
ともだちにシェアしよう!

