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「まず、フェリックス殿下とアルネの婚姻を、ネイトステフ王国は承諾しておいでですか?」
一般の国民ならいざ知らず、王子同士の結婚となると両家の合意が絶対に必要だ。
下手をすると、戦争になりかねない。
アミエラは、そこを危惧していた。
「私の意思は手紙に記し、伝令を使ってネイトステフへ届けさせております」
「お返事は?」
「まだですが、我が国とテミスアーリン王国の友好関係を、より強固にできますので、良い返事が届くと確信しております」
口には出さなかったが、エディンが出した手紙には、もっと政治的な旨味を散らしてあった。
それは、彼がカテリーナの誘惑を受けた際に、閃いた策だ。
『私、このたび女王として、テミスアーリンに君臨するつもりですの』
『女王である私の側近として、この国に残られてはいかが? 事実上の国王として』
こんな身勝手な未来予想図を語っていた、カテリーナ。
エディンは彼女の構想を、アルネと自分に置き換えたのだ。
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