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「問題ありません」
アミエラの不安は、エディンのきっぱりとした口調に消え去った。
「アルネ殿下のお傍にいられるのならば、従者や下僕でも構いませんよ」
「エディン様!?」
アルネはその覚悟に驚いたが、アミエラはただうなずいた。
王族が、いつまでも国のトップでいられるとは限らない。
現に、つい先だってのクーデターが成功していれば、その座を追われていただろう。
そして美しいアルネは、将軍の情夫とされていただろう。
「アルネ。フェリックス殿下は、あなたがたとえ落ちぶれても、共にいる。そう、おっしゃっているのですよ」
「ありがとうございます、エディン様……!」
これ以上無いくらい幸せな顔の、アルネ。
アミエラでさえ、初めて見る表情だ。
(二人は本当に、愛し合っているのね……でも、まだ私には不安材料が残っているの)
胸の内でもそう言いながら、アミエラは二本目の指を立てていた。
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