337 / 372
2
エディンは寝返りを打ち直して、アルネと向き合った。
その瞳には、いたずらっ子のような光が宿っている。
「しかし、それも昨日までの話だ」
「えっ?」
「テミスアーリンの豊かな穀倉地帯と、潤沢な鉱物資源。これらを共有できるかもしれませんよ、とほのめかしたら、筆色が変わったよ」
「解りやすい御方ですね、エディン様の兄上は!」
くすくすと笑い合いながら、エディンとアルネは唇を合わせた。
深く繋がっては、離れて。
そしてソフトなキスをしては、また離れる。
今夜のアルネは、そんな口づけを繰り返していた。
額を合わせて、頬ずりをして。
視線を絡ませ、キスをする。
「どうしてかな?」
「何が、ですか?」
「もう少し、落ち着いてキスをしたいのだが……」
「ごめんなさい。僕、もう少しだけ、エディン様の御顔を見ていたいんです」
そう言って、アルネはまたキスをした。
ともだちにシェアしよう!

