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「だって、今夜のエディン様は、何だか可愛いから」
「か、可愛い!?」
「まなざしが、まるで子どもみたいです」
気を悪くされたら、ごめんなさい。
そう囁いて顔を覗き込むアルネに、怒るなどできやしない。
エディンは、苦笑いした。
「驚きはしたが、怒ってはいないよ」
(生まれて初めて『可愛い』と言われた!)
幼い頃から、眉間に皺を寄せる癖のあった、エディンだ。
唇は真一文字に結んで、口数の少なかった、エディンだ。
そんな彼を、可愛いと形容する人間は、一人もいなかった。
「可愛い、か……それは、褒め言葉……か?」
「はい。全霊込めて、褒めてます!」
「アルネに褒められるのは、嬉しいな!」
もっと褒めてくれ、ヨシヨシしてくれ、と本当に子どものようだ。
そんなエディンを、アルネはおおらかに受け入れた
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