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「これは一体、どういうことですかな? フェリックス殿下!」
「め、面目ない……」
朝、素裸で抱き合い眠るアルネとエディンを見つけてしまったのは、医師だった。
アルネを、朝一番の健診にと訪問することが、彼の日課だ。
医師は、いつものように、寝室前のフロアでアルネを待っていた。
しかし、定刻を過ぎてもアルネが起きてこない。
心配して寝室へ入って見ると、この有様だったというわけだ。
「初夜は特別な日に、とあれほど言ったのにぃ!」
「すまない! 全部、私が悪い!」
「待ってください、僕が肌を許したのです! 悪いのは、僕です!」
かばい合う二人の姿に、医師は大きなため息をついた。
「解りました。今回は、見なかったことにします」
「恩に着る!」
「ありがとうございます!」
しかし、今後も幾度となくこのような朝を迎える、医師だった。
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