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「いい加減になさい!」  張りのある真っ直ぐな声に、大臣たちは思わず固まった。 「国王陛下を支え、政策を担う立場にある者たちが、何という見苦しさ。恥を知りなさい!」  一気に場は静まり返り、しばらく後に最も年配の大臣が、恐る恐る口を開いた。 「恐れながら申し上げます」 「聞きましょう」 「ネイトステフ王国は、我が国の領土を手中に収めるために、フェリックス殿下とアルネ仮王代理陛下との婚姻を計画したのではないでしょうか?」  その場の半数が、うんうんとうなずく。  だがアミエラは、少しも困った様子を見せなかった。 「領土が目的なら、クーデター鎮圧後にフェリックス殿下が、我が国を相手に宣戦布告したでしょう」  これだけ国内が、王室が乱れている時に、殿下はそれをなさらなかった、とアミエラは続けた。 「ネイトステフ王国は、テミスアーリンと恒久的な友好をお考えと、私は思います」  拍手が沸き起こり、ようやく室内は話し合いの場として機能し始めた。

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