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「アルネ、今日はお疲れ様。しっかりお務めを果たせていたわよ」
「母上、ありがとうございました。皆さんが暴れ始めた時、僕はどうしていいか解りませんでした」
「そのうち、慣れるわ」
アミエラは、自室でくつろぐアルネを訪問していた。
彼は、かなり疲れているようで、靴まで脱いで長椅子に横になっている。
その姿に軽く笑った後、アミエラは息子を誘った。
「今から、フェリックス殿下と看護の交代に行くの。ご一緒しない?」
「喜んで!」
跳ね起きて靴を履くアルネを見ながら、アミエラは独り言のようにつぶやいた。
「本当に、あの御方には感謝しかないわ。仮王陛下の看護を、半分請け負ってくださるなんて」
『一日中、ほぼ休みなしに陛下を診ておられるアミエラ様に、少しでも楽をしていただきたいのです』
『母親ですもの。私なら、大丈夫ですよ?』
『私も、家族の一員となるのです。苦も楽も、分け合いましょう』
その気持ちが、何より嬉しい。
アミエラにも、我が子がもう一人増える実感が湧いていた。
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