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「せめて、僕にも意見を聞いて欲しかったな」
少しでも、いいから。
一言でも、いいから。
そんなアルネは、穏やかな笑顔だ。
彼の様子に、アミエラと兄はホッとした。
驚きはしたが、気分を害してはいない、と思ったのだ。
アルネが王になる決定に、反対ではない、と思ってしまったのだ。
だが、エディンだけは違っていた。
アルネの内に秘めた悲しさを、感じ取っていた。
いつもの彼と、違う。
あの、はつらつとした笑みでは、ない。
(しまった……!)
いつも優しい、アルネ。
私を癒してくれる、アルネ。
(だから私は、彼に甘えて。本人の意思を確かめずに、勝手な真似を!)
心優しいアルネは、家族を困らせまいと、気丈に笑って見せているのだ。
そんな風に、エディンは感じ取っていた。
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