359 / 372

4

「僕、本当を言えば、辛かったんです。皆で、僕の知らないうちに、王権を譲る話を進めていたこと」  アルネの言葉に、アミエラと兄は、彼を傷つけたのだと気づいた。 「ごめんなさい、アルネ。本当に、ごめんなさい。私たちは、急ぎ過ぎたわ」 「アルネ……ごめんよ……」 「母上、兄上。僕こそ、心を偽ってごめんなさい」  アルネは、以前エディンと交わした、自分の言葉を思い出していた。 『どんな困難が待ち受けていても、二人で乗り越えましょうね。隠し事は、ダメですからね?』  これは、エディンとの約束ではあったが、母も兄も、家族なのだ。  アルネは、自分の気持ちは素直に伝えようと、決めた。  エディンの優しい一言で、救われた思いだった。

ともだちにシェアしよう!