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「私は、アルネを信じている。君なら、きっと善い王になる」
「エディン様」
「アルネは、一人じゃない。私が全力で、支えよう。義母上も、義兄上も、強い味方だ」
「はい!」
アルネは、心からホッとした。
(危なかった。僕ったら、自分から進んで独りぼっちになるところだったな)
そして、兄の傍へと歩んだ。
「未熟者ではありますが、兄上の善政を手本に、頑張ります」
弟の立派な振る舞いに、ゆっくりと。
だが、とても晴れやかに、兄は笑顔を見せた。
「私も、アルネを……信じているから、ね……」
「ありがとうございます、兄上」
アルネは、静かにその手を取った。
彼の指先はまだ冷たいが、そこには確かに命のぬくもりが戻ってきていた。
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