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『友好国であるネイトステフから、援軍が来ている。領土内で、何度も勝利しているんだ』
『あの名高い竜将・フェリックス・エディン・ラヴィゲール殿下も、参戦している!』
内戦中の兄の言葉を、アルネは思い出していた。
疲労の色が濃い兄の顔が、その時だけは明るくなった。
エディンの名を、目を輝かせて言ったのだ。
勇猛果敢な、一騎当千の猛者だ、と。
フェリックス・エディン・ラヴィゲール。
不思議と勇気が湧いてくるその名は、兄にとっても魔法の呪文だったに違いない。
「義兄上。もし再び戦が起きても、アルネは私が絶対に守り抜きます!」
「アルネを……お願いします!」
二人の男は、たとえ血は繋がっていなくても、確かに兄弟となったのだ。
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