365 / 372

5

「亡き国王陛下の喪が明け次第、執り行おう。あっ、そうだ。婚約発表は、いつしましょうか?」 「早い方がいいわね。明るい話題で、国内を活気づかせたいわ!」 「こ、婚約発表!?」 「街を、馬車で……パレード、しよう……」 「兄上まで!」  アルネは、笑い出してしまった。 「皆で、ポンポン決めちゃうんですから! 全く!」 「アルネは、何かないか? 早く言った者が、勝ちだぞ?」 「じゃあ、吐きますけど。エディン様、さっきから僕のことを『アルネ殿下』ではなく『アルネ』と呼んでますね。人前で!」 「そっ、それは、つまり」 「義母上とか、義兄上とか、呼んでますよね!?」 「それは、私も思っていたわ」 「私も……感じていたよ……」  うわぁあ、とエディンは赤くなって下を向いた。 (早すぎたか? ドン引きされたか!?)  後悔と反省が、エディンの頭の中に渦巻いたが、それを吹き飛ばしたのは、やはり明るいアルネの声だった。 「僕、とっても嬉しいです!」  四人が新しい家族となった、早春の出来事だった。

ともだちにシェアしよう!