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「亡き国王陛下の喪が明け次第、執り行おう。あっ、そうだ。婚約発表は、いつしましょうか?」
「早い方がいいわね。明るい話題で、国内を活気づかせたいわ!」
「こ、婚約発表!?」
「街を、馬車で……パレード、しよう……」
「兄上まで!」
アルネは、笑い出してしまった。
「皆で、ポンポン決めちゃうんですから! 全く!」
「アルネは、何かないか? 早く言った者が、勝ちだぞ?」
「じゃあ、吐きますけど。エディン様、さっきから僕のことを『アルネ殿下』ではなく『アルネ』と呼んでますね。人前で!」
「そっ、それは、つまり」
「義母上とか、義兄上とか、呼んでますよね!?」
「それは、私も思っていたわ」
「私も……感じていたよ……」
うわぁあ、とエディンは赤くなって下を向いた。
(早すぎたか? ドン引きされたか!?)
後悔と反省が、エディンの頭の中に渦巻いたが、それを吹き飛ばしたのは、やはり明るいアルネの声だった。
「僕、とっても嬉しいです!」
四人が新しい家族となった、早春の出来事だった。
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