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第七十四章 永遠の誓い

 夏風がアルネの髪を、さらりと撫でてくれた。  湿度の低い乾いた風は、暑さで滲む汗を冷やしてくれる。  ここは、ダマビア。  アルネ国王の名のもとに、テミスアーリン王国と、正式に国交を回復した医療の進んだ国だ。  そして、エディンとアルネとの、思い出の地でもある。  薬を求めて、砂漠を旅した日々。  知恵と勇気を試され、二人の愛を深めた国・ダマビア。  今日の二人は、バシリキとソフィアの結婚式に出席するため、かの地を訪問していた。 「あれから半年以上経つというのに、まるで昨日の出来事みたいです」 「忙しかったからな。しかし、いい息抜きになる」  アルネは国王の座を賜り、エディンとの婚約発表も行った。  馬車で街中をパレードし、国民の祝福を受けることができた。 「それで浮かれないところが、アルネらしいな」 「僕、色々とやりたいことが、あったんです」  新・国王。  アルネ・エドゥアルド・クラルの為政は、革新的なものだったのだ。

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