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アルネは、ダマビアとの国交正常化を進めると同時に、国内の立て直しにも力を入れた。
戦乱のせいで、国民の間に貧富の格差が広がりつつあるからだ。
『貧しさに困っている人には土地を与えて、耕作を勧めましょう』
『恐れながら、土地が足りません。陛下のお考えは、理想論過ぎるのでは?』
熟練の大臣は、まだ若いアルネ国王を困らせにかかった。
彼がどれほどの手腕を振るうか、試したのだ。
だがしかし。
『土地なら、いくらでもあるぞ。前王妃・カテリーナが、国に無断で所有していた荘園だ』
『エディン副王の言うように、彼女から没収した土地があります。それを分け与え、収穫から税を納めてもらいましょう』
アルネ国王の傍には、敏腕のエディン副王がしっかりと控えていたのだ。
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