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第15話
立浪くんは優しく僕のそれを撫でながらさっきみたいに上下に動かす。
動かされる度に息が漏れて、どうしようもなく吐き出したい衝動に駆られる。
たださっきと違うのはそのまま吐き出すまではしてくれないこと。
それがもどかしくて腰が動いてしまう。
立浪くんの下半身に手をやるとさっきよりも大きくなっていて、彼も少し反応する。
いつも自分を慰めるみたいに上から下へなぞると、彼の口からも短い声が漏れた。
―――もっとしてあげたい。
そう思って布団に潜り込む。
彼のそれを口に含むと一瞬驚いた様子を見せたものの、さっきみたいに拒否はしないでそのまま受け入れた。
僕が彼を舐める湿った音と彼の息遣い。時計の秒針の音。
全て混ざりあって不思議な世界へ紛れ込んだみたいだ。
「先輩、もう大丈夫です。」
僕の肩をぽん、と叩いて制止する。
そういって今度は彼が僕自身を口に含んだ。
はじめての感覚に頭がおかしくなりそう。
汚いとか、気持ちいいとか、恥ずかしいとか。
そういうのが全部ひとつになって何も考えられない。
「ちょっと痛いかも、ごめんね。」
そう呟いたのだけが聞こえて、一瞬違和感を覚える。
でも口に含まれてる方の快感の方が大きくて、違和感は一瞬で消える。
そんな違和感が何回かあったあと、舌を絡めたキスをした。
お互いの下半身が擦れ合ってそれだけで気持ちよくなってしまう。
気持ちいいことしか考えられなかった僕に彼はストップをかけた。
「先輩、ローションとか持ってない?」
「ん、ぇと、ここにあるけど…」
立浪くんは手にローションを絡ませると僕のそれと、入口にぬるぬると塗りひろげる。
「ぅわ…っん…」
自分を慰めるのに使ったことは何度かあるけどわ人からされるのは全然違う。
会話で少し冷えた快楽を呼び起こすのはほんの一瞬で。
さっき感じた違和感の正体に気付いても、もうそれを気に留めることはない。
彼が僕にキスをすること、彼の舌先が僕の胸元や首筋を這うことに夢中になる。
「そろそろ挿れていい…?」
目の前に覆い被さる立浪くんにキスで返事を返して、彼の首に手を回して受け入れる準備をすると、ローションでぬるぬるになった彼自身で何度か入口付近を擦られた。
何かが自分に入ってくる強烈な違和感と強い痛みに意識してない声が漏れる。
「ぁ…っ、待っ…て、痛…、」
彼が動きを止めて抜こうとするのを首を振って止めさせる。
「…ごめ、待たなくて大丈夫だから、そのまましよ?」
僕を上から抱きしめて、ゆっくりと奥まで入ってくる。
痛みがないわけじゃない。鈍痛のような違和感のような感覚が常にある。
でもその中に確かに気持ちいい感覚があるのは事実で。
「あー…やばい待って…
動いてないのに気持ちよすぎてすぐイキそ…」
「…そんな気持ちいいの?」
うん、と顔をすり寄せてきて、そのままそっとキスをして空いた手で僕の髪を撫でた。
何度も痛くないか確認しながらゆっくりと動く。
痛いのに気持ちよくて、自分でもよく分からない。
奥まで届く度に声が漏れて我慢しようにもできなくて、はずかしいのに抑えが効かない。
繋いだ手に力が入って、伸びた爪が彼の手の甲に刺さる。
何度も何度も出し入れされる度に気持ちいいの割合が増えてきて余計に力が入る。
「先輩こっち、背中に手回して。」
手を回すとさっきよりも早い動きに気持ち良さが増して、それが今までに感じたことのない快感で恐怖にかわった。
なのに立浪くんはやめてくれなくて、つい声に出る。
「や、待って、待っ、立浪くん…っ!変になっちゃうから…っ」
「痛い?こわい?でもごめん俺も余裕ない…っ」
何度か奥まで届いたあと、僕も立浪くんも同時に果てて、二人の荒い息が部屋に響く。
息が少し落ち着くと立浪くんはティッシュで僕がとばした精液を綺麗に拭き取って、自分の後始末まできちんとしたあと僕の横に寝転んで嬉しそうに僕を見た。
まるで小学生がいたずらしたときみたいな笑顔で何度も僕にキスをする。
僕はというと終わったあとの余韻、というよりシンプルに身体への負担が大きくて動けない。
身体を横に向けるくらいならできるけど、立浪くんみたいに立ち上がってティッシュをとることすら今は難しい。
「全部やらせてごめんね?」
「えー?全然いいんですよー。」
いつもより語尾をあげて嬉しそうに微笑みながら僕の髪を撫でたり、頬を触ったり、たまに触れるだけのキスをしたり。
「先輩起きられますか?今日の夜とかちゃんと用意できます?」
「んー…、ゆっくりなら動けるし大丈夫だよ。」
とは言ったものの、正直動きたくない。
お腹は空いてるけど、今日は食べなくてもいいや。
そう思っていると立浪くんは「今日泊まっていいですか?」と聞いてきた。
一人暮らしだし、泊めるのにダメって言う人は僕以外いない。
さっきまであんなことしてたのに、泊まりって聞くと生々しくて恥ずかしい気持ちになる。
立浪くんはきっとそんなこと考えてないんだろうけど。
「ね、だめ?ご飯とか心配だし。
夜は手、出さないようにするし…多分。
あー…ちょっとくらいは出ちゃうかもしれないけど。」
途中からどんどん自信がなくなっていく言い方がおかしくて笑う。
今日は金曜で明日は休みだし、立浪くんの提案を受け入れる。
立浪くんは目に見えて喜んで、母親に泊まりの連絡をいれたあとまた隣に転がり込んできた。
横で嬉しそうに微笑んでる立浪くんはさっき僕とあんなことしてた人とは別人みたいに可愛い。
さて、そろそろ身体を起こさなくちゃ。
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