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第23話

最初は なんで俺が? だった。優紀の友達は別に俺の友達じゃない。 そもそも嫉妬の対象であるこの人、長谷部 京一郎先輩。 この人が優紀の家にいることが嫌。二人でいることが嫌。 仲良く並んでるところも嫌。――俺の知らない優紀をこの人が知ってるのが嫌。 二人が話してるのを見るだけで心が狭くなっていく。 この人の前で敢えて密着して見せたってこの人は当たり前に嫉妬なんかしない。 この人にとって優紀が対象じゃないから。 それで本当は安心できるはずなのに全然安心できない。心のもやがずっと晴れない。 嫌って言うほど、この人に優紀は俺のものって教えてやりたい。 俺の目の前で無駄に優紀に触らないでほしい。 俺の嫉妬ってなんなの。なんでこんなにずっと焦がれてんの。 ずっと心が重いくてだるい。何をしてても気持ちが晴れない。 *** 俺の手で気持ちよくなる優紀はかわいい。 男とするなんて分からなかったけど、俺のすることに反応するところがかわいい。 気持ちよくなって服を握るところが、声を出すのが恥ずかしくて我慢しちゃうところ、そういうところが全部かわいい。 でも前にしたときより反応がいいのはなんで? 長谷部先輩がさっきまでいたから?長谷部先輩となにかしてたの? 何を話して、どんなことをしていたの? 嫉妬で頭がおかしくなる。 かわいいと思う気持ちと嫉妬でいらつく気持ちがごちゃ混ぜになって、つい口を衝く。 絶対言っちゃいけないって分かってたはずなのに。 案の定喧嘩になって嫌な雰囲気になる。 あぁ、もう。俺の方が泣きそうになるなんてみっともねぇ。 結局優紀に促されるかたちで思ってることを言わされて、それでも受け入れてくれる。 こんなところはちゃんと歳上で悔しいけど、そんなところも好き。 「長谷部先輩にどうやって俺と付き合ってるって言うの?」 ベッドで優紀を前に抱きかかえながら聞くと、優紀はこっちを見上げて言う。 「普通に言うよ?颯斗くんと付き合ってるんだよねって。」 「長谷部先輩それで受け入れてくれそう?」 「んー、多分?わかんないけど。」 優紀にしては珍しく適当な返事。 それが少し嫌でムッとすると、またこっちを見上げてきてくすくすと笑うと優紀はこっち側に向きをかえて上に乗って服をめくる。 「ね、こうやって誘ったら颯斗くんも僕に興奮する?」 予想外の角度から質問をされて驚いていると、優紀の方からキスをされる。 今までこんなに積極的だったことはなくてそれにも驚く。 首に手をまわされて何回もキスをされていると、このまま抱き潰してしまいたくなる。 優紀の胸元に手を添えると一瞬だけキスが止まる。 「いいから優紀は続けてて?」 「ん…、颯斗くんは触っちゃだめ。今度は僕がしてあげたいの。」 そう言って俺のを触ろうとする優紀の手を掴んでベッドへ押し倒すと首に手を回して軽くキスをしてきた。 「…颯斗くん、えっちしよ?」 下から俺を見ながら聞いてくる顔がどうにも色っぽくてぞわっとする。 他でもないこの顔が俺の不安を煽ってくる。他の誰にも見られたくない。 返事をするかわりに首筋にひとつ痕をつけると、ベッド脇からローションを用意して、恥ずかしそうにズボンを下ろすとローションの蓋をあけて優紀は自分の手に馴染ませた。 座りながら慣らす優紀の制服のシャツが重なってその場所までは見えない。 ただ濡れた音と短い声だけが静かに聞こえる。 「ん…、ぅ…」 自分で慣らすその行為がひたすらいやらしくて、それだけでどうにかなりそう。 正直見てるだけって言うのが我慢の限界で、ベッドに転がるローションを手にとると自分の手に垂らして温める。 「優紀ちょっと腰上げて。」 立ち膝になった優紀の入口に指を這わせるとそれだけで優紀は身体を少し跳ねさせた。 少しずつ丁寧に慣らしていくと我慢できなくなった声が耳元で聞こえる。 「…んっ、颯斗くん…っ」 自分自身も狭い下着の中じゃきつくて痛い。 ベルトを緩めるのにティッシュで手を拭いて脱ぐと、ぬるぬるになったままの優紀の手が俺のに触る。 さすがにローションつけた手で扱かれるのは気持ちよすぎて逆によくない。 こんなすぐにイッちゃったら恥ずかしすぎる。 正直2回でも3回でもヤレるけど、優紀の負担を考えたらこれで終わりの方が絶対にいいし。 「優紀ストップ、もういいからゴムとって?」 優紀は近くに用意してたゴムを開けると、慣れない手つきで俺のに丁寧につけた。 してくれることがいちいち嬉しくて自然と笑みがこぼれる。 ゆっくりと優紀の中に飲み込まれていくのを感じながら、優紀を確認すると余裕がなさそうにシーツを握っているのが見えた。 「大丈夫?もしかして痛い?」 「ん…ちが、気持ちよくて…」 優紀の腰を持ってゆっくりと動かすとその度に声が漏れる。 前よりももっと艶っぽい声が部屋と自分の頭に響く。 「優紀こっち見て。」 「や、やだ…ぁ、絶対、顔、変…だもんっ」 揺れるたびに途切れる声。口元を隠す手をどけて無理やりキスをする。 キスの最中でも声が我慢できなくなるのが可愛くて、どうにもえろくて好き。 一度優紀の中から抜くと優紀が心配そうにこっちを向く。 「終わりじゃないよ、優紀後ろ向いて。  ちょっと四つん這いになって。」 「……えぇ、恥ずかしいからやだ…」 「ね、お願い。」 うぅ、と言いながら結局してくれるのが可愛い。 細い腰がいやらしくてぞわぞわと感情と背筋が波立つ。 「もっと肩落として。  んで、はい、お尻あげて。」 腰を持ち上げて後ろから挿れると優紀は枕に顔を押し当てて声を我慢しようとする。 「やっ、待って、これ、やだ、声出ちゃ…ぁっ、あぁ…っ、」 動く度に少し大きな声をあげるのが可愛くてもっと聞きたい。 あんまり無理をさせたくないのに、考えと裏腹な動きをする。 優紀の腰を持ってさらに奥まで。 途中で優紀からぱたぱたと精液が落ちる。 「優紀イッちゃった?」 肩で息をする優紀に聞いても返事はないまま。 「ごめん俺まだなんだよね。」 そう言って向きを元に戻す。 後ろからするのは支配欲は満たされるけど、可愛い顔も見られないしつまらない。 「あっやだ、も、できな…、やぁ…っ」 「できない?だめだよ、まだしてもらわなきゃ。 したかったんだよね?」 腰をひく優紀を逃がさないように上から抱きしめるように動くと、また色っぽい声が聞こえてきて自分も限界が近づく。 「あー、かわいい。食べちゃいたい。」 「や、ぁっ…むり、もう無理だよぉ…っ、あっ、だめ、だめぇ…っ  もう無理、またイッちゃう、からぁ…っ…」 優紀の肩に噛みつきながら果てて、下で息を荒くしながら顔を赤く染める優紀にキスをした。

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