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第18話 継母は、難しい
2ー8 番✳
軽くちゅっとキスしただけだった。
なのに。
一瞬で脳が焼かれるぐらいの衝撃が走った。
唇から劇薬が流れ込んでくるような感覚。
「ふ、あっ」
まずい!
俺は、すぐに体を離そうとしたが、それをリュートは、許さなかった。すぐに俺の頭の後ろに手を当てると俺を引き寄せた。
「ん、ぐっ!」
リュートの胸に手を押し当てて体を離そうとする俺をリュートはぎゅっと抱き込む。
リュートの厚い舌が唇を割って入り込んでくるのを俺は、拒めない。
ちゅくちゅく、と水音が聞こえてくるのを痺れた頭で聞きながら俺は、何もできずにただ、リュートに貪られていた。
リュートは、俺の舌を吸い、絡めとり、俺を夢中で味わっていた。
「ふっ、あっ……」
ようやく俺が解放された時、俺の口の端から溢れる唾液をリュートは、舌で拭いとる。
ぴちゃ、っという音に俺は、体を震わせ熱い吐息を漏らした。
「まったく……油断も隙もないな」
リュートが耳元で囁く。
「アンギローズは、今までにも数知れぬほど抱いてきたが。こんなのは、初めてだ」
リュートは、俺を膝の上に横抱きにすると俺の頬にキスした。
「今までに男に抱かれたことは?」
俺は、ぶんぶんと、頭を振る。
そんなことは、したこともない。
キスだって。
「……初めて、だったんだ……」
「そうか」
リュートの瞳がぎらっと輝く。
「アンギローズの運命の番など、信じてはいなかったが……これは、グレイスフィールド伯爵と話す必要がありそうだな」
はい?
俺は、ぼんやりとしたままリュートのことを見上げた。
何を、話すって?
「お前をグレイスフィールド伯爵から奪う!」
リュートが俺を射るような瞳で見つめた。
「お前は、私のために存在する者だ」
「はひっ?」
俺は、一瞬で正気に戻っていた。
これ、やばいんじゃね?
とんでもないヤンデレに番宣言されてる?
それ、俺じゃないし!
あなたのお相手は、主人公のロゼス君でしょ!
俺は、リュートの膝の上から逃れようとしたが、リュートは、離そうとはしなかった。
「離してっ!俺はっ!」
そのとき、部屋のドアが開いてラトグリフが現れた。
真っ青な顔色のラトグリフは、俺たちに震える声で告げた。
「グレイスフィールド伯爵が!亡くなりました!」
はいっ?
俺は、ぎょっとしてラトグリフを見上げた。
なんですと?
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