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第24話 継母の心得
3ー4 愛人契約
「その、ただで借金の肩代わりをしてくださるんですか?」
俺は、消え入りそうな声でリュートにきいた。
「何か、その、要求される、とか?」
「要求?」
リュートがきょとんとする。
「私が?」
「ああ、いえ、別になければいいんです!」
俺は、慌てて誤魔化そうとするがリュートは、なにやら考え込んでから信じられないぐらいいい顔して俺を見た。
「それは、いいかもしれないな」
何がいいかもしれないんですか?
俺がびくびくしているとリュートが笑顔でみなに宣言した。
「どうだろう。ただ借金を肩代わりしたのでは心苦しいとアンリもいうことだし、ここは、当然の対価を求めてみるというのは?」
「対価、ですか?」
ロゼス君がちらっとラトグリフをうかがう。
「どんなことでしょう?」
俺は、頭を抱えていた。
しまった!
俺のせいだ!
俺が余計なことを言ったから!
ロゼス君、ごめん!
ロゼス君が酷い目にあえばいいのになんて、決して思ってないから!
俺は、いつだって君の味方だし!
「私が望む対価は」
リュートが口を開く。
しん、と部屋の中が静まり返る。
ごめん!
俺は、必死に心の中でロゼス君に謝っていた。
「アンリを」
はいっ?
予想外の言葉に俺は、ぎょっとして顔を上げた。
ロゼス君とラトグリフも顔を見合わせている。
「アンリ・フランソワ・グレイスフィールド伯爵代理を私の愛人とすることを要求する」
はいぃっ!?
俺は、もう、泣きそうになってしまう。
なんで?
そこは、ロゼス君を要求するとこでしょ?
なんで俺?
「それは……」
ロゼス君がちらっと俺の方をうかがう。
俺は、涙目でロゼスくんを見つめた。
頼む!
反対して!
自分が代わりにとか言わなくてもいいけど、ここは、反対して!
だが、ロゼス君は、神妙に頷く。
「アンリが決めることなんじゃないか、と。アンリがそれを望むなら、僕は、反対したりするつもりはありません」
マジか!
すぅっとリュートが俺の腰に手を回して抱き寄せる。
「反対する者もとくにないし、かまわないだろう?アンリ」
「ふぇっ?」
俺は、口をはくはくさせていた。
なんとかしなくては!
このままだと、俺がロゼス君の代わりにこのヤンデレ男の餌食になってしまう!
「では、そういうことで契約書を用意させよう」
リュートがにこやかに告げる。
まずい!
ほんとにまずいってばっ!
俺は、リュートに抗議しようとしたが、声が出なくて!
「あっ、あのっ!」
「なんだ?アンリ」
じっと見下ろす金色の瞳に俺は、わなないた。
「その、契約って、俺」
「心配するな、アンリ」
リュートが妖しく美しい笑みを浮かべた。
「うんと可愛がってやる」
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