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第43話 領主代理

 5ー3 『創造』  俺とリュートは、神殿の中にある老神官の部屋に通された。  そこは、執務室のようで難しそうな古書が山のように積まれていてカビ臭い臭いが漂っている。  俺とリュートは、ソファをすすめられ腰かけた。  前の椅子に腰を下ろした老神官と俺たちの前に従者らしい神官たちがお茶を差し出す。  「このお茶は、我がルトアニムズ教団の聖地で採れた薬草で作ったお茶です。どうぞ」  老神官は、そう言うと自分も持っていたカップからお茶をすすった。  俺は、喉が乾いていて。  カップの中の黒いお茶をこくっと一口飲んでみる。  鼻に抜けるような爽やかな柑橘のような味がする。  俺は、もう一口飲んだ。  「ところで、このアンリの魔法適性についてなのですが」  リュートが切り出すと老神官がぴくっと眉を上げる。  「せわしい方ですな」  「しかし、我々は、ここにお茶を飲みにきているわけではないのですよ」  リュートの言葉に老神官は、ふぅっと息を漏らす。  「あなたの思い人は、いい意味でも悪い意味でも規格外の方です」  老神官が手にしていたカップをテーブルに置くと身を乗り出した。  「本来ならこのようなお方は、我々神殿でお預かりするべきなのですが、それは、侯爵がお気に召されんのでしょう?」  「まさか、それほどの力をアンリは持っているのですか?」  リュートの問いに老神官がにぃっと笑った。  「この方の持つ力は、世界を変えてしまうような力です。アンリ殿は、いわば神のお使いともいえるお方なのです」  はいっ?  俺は、ごくっと喉を鳴らした。  俺が神のお使いですと?  「いったいどんな力をアンリは、持っているんだ?」  うん。  リュートの問いに俺は、老神官の方へと身を乗り出す。  俺も知りたい!  「一言では言い難いのですが」  老神官がゆっくりと口を開く。  「アンリ殿の持っている能力は、『創造』ありとあらゆる全てのものを創る力を持っておられる」  『創造』  俺は、目を見開く。  なんかすごくない?  俺、もしかして無敵なんじゃ?  「勘違いしてはなりませんぞ」  老神官は、俺の心を見透かしたように話す。  「アンリ殿の『創造』には、対価が必要となる。その対価とは、魔力。つまり、アンギローズとして魔力を吸収すればするほどにアンリ殿は、強い力を得るのです」  魔力吸収?  俺は、リュートに魔力を注がれた時のことを思い出して背筋がぞくぞくして顔が熱くなる。  俺が力を使うためには、あれが必要になるってことですか?  俺は、思わずきゅっと両足を閉じていた。  俺の中心を縛るリングの感触を感じて。  俺は、熱い吐息を漏らした。  

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