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第44話 領主代理

 5ー4 帰還  アルデナール公爵家への挨拶後、俺とリュートは、グレイスフィールド伯爵家へと戻った。  アルデナール公爵ご夫妻は、留守だったため家令の対応だったが仕方がない。  冬は、王都は、社交の時期で社交界の花であるアルデナール公爵夫妻は、この時期は、王都で過ごすのが慣例なのだ。  ともかく備蓄された食料を分けていただけるだけで十分だった。  俺たちの馬車の後からアルデナール公爵家からの支援物資を積んだ荷馬車が十数台続いた。  俺たちが伯爵領の屋敷に戻ったのを出迎えたロロたちが安堵の表情を浮かべる。  「おかえりなさいませ、アンリ様、それにラインズゲート侯爵様」  出迎えてくれた使用人たちの表情も心なしか明るいような気がした。  「王都の騎士団の皆様もお着きです」  執事のジロウザが馬車から降りた俺とリュートに伝える。  俺は、ホッとしていた。  これでクルシキの町に救援に向かえる。  俺は、騎士団の皆さんが待っているというリビングへと急いだ。  だが。  そこにいたのは、たった3名の騎士だけだった。  少し、いや、かなりがっくりとしている俺に申し訳なさげに歩み寄ってくる金色の短髪の背の高い若い騎士を見てリュートが意外そうな声を上げた。  「ロングィユじゃないか!」  「お久しぶりです、ラインズゲート侯爵」  金髪の騎士が騎士の礼をとる。  リュートは、親しげに騎士に近づくとぽん、と肩を叩いた。  「まさか、王都の近衛騎士団の副騎士団長が来てくれるとはな」  「いえ、それが」  金髪の騎士の表情が曇る。  「実は、つい先日付けで近衛を辞して第3騎士団の副騎士団長に任命されました」  うん?  よくはわからないが、近衛騎士団から第3騎士団に左遷されたってことですか?  しかも、うちに派遣された他の騎士は、どうもけっこうな年配の騎士たちのようだし。  どういうこと?  俺が問いたげに見ているとリュートが俺の手をひいてリビングを出た。  「ロングィユは、近衛騎士団の団長の怒りをかって第3騎士団に左遷されたんだ。どうやら、この度の任務が厄介だと思った第3騎士団の団長に押し付けられたらしい」  マジですか?  というか、たった3人って!  リュートは、俺を宥めるように付け加える。  「安心しろ、アンリ。ロングィユは、一騎当千の騎士だ」  そうなんですか?  とはいえ、まったく来てくれないよりかはましだしな。  俺とリュートは、ロロと話し合い予定通りに明日、クルシキの町へと向かうことにした。   

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