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第61話 領地再建

 7ー1 余所者  リュートのつてですぐに鉱山技師が手配された。  技師が来るまでに数週間は、かかるらしいのでその間にクルシキの町を再建することにした。  その話をするために俺とリュートのテントに町の代表者が集められた。  俺を中心にしてみな、車座に座って和やかに会議は始まったわけなんだが。  途中で俺がイキナムチのことについて話題にしたら途端にみなの態度が変わった。  町長のライゾさんも、若衆代表のオリベ君も婦人代表のマリさんもみな、急によそよそしくなって、それまでにこにこしながらみんなで力を合わせて町のことを再建していこうって話していたのに「やはり他所の方たちには、関わって欲しくはない」の一点張りになってしまった。  なんで?  俺は、困惑していた。  なんでイキナムチのことちょっと聞いただけなのに?  「このままじゃ、らちがあかない。もう一度、お互いに仲間内で話し合ってからにしようか」  リュートがそう言うとさっさとオリベ君たちは、俺たちのテントから去っていこうとしたので俺は、急いでライゾさんを呼び止めた。  「なんの用でしょう?アンリ様」  ライゾさんが困った顔で俺の前の地面に腰を下ろしたので、俺は、ちらっとリュートを見た。  「ちょっと外してもらえますか?ラインズゲート侯爵様」  リュートが「いやだ」と言おうとしたのを笑顔で押し止めると俺は、そっと囁いた。  「後で埋め合わせはしますから」  リュートは、こくこくと頷くとテントから出ていく。  俺は、後でする埋め合わせのことを考えないようにしていた。  だって、絶対、ろくなことじゃないから!  「で?なんのご用でしょうか?アンリ様」  「うん」  俺は、話すべきかまだ迷っていた。  いくら地元の人であってもこんな話を信じてくれるかどうかわからないからな。  でも。  俺は、話すことにした。  「実は、イキナムチ様のことなんだけど」  ライゾさんがぎょっとした顔で俺の方を見るので俺は、やんわりと微笑んで見せる。  「俺、イキナムチ様の姿が見えるんです」  「はい?」  ライゾさんの驚愕の様ときたら!  丸い目を見開いて数秒間、フリーズしていた。  あっ!  俺は、嫌な予感がしていた。  これ、失敗したかも!  「見えるっていっても」  「本当ですか?」  ライゾさんは、俺に食って掛かった。  「あなたは、本当にイキナムチ様のお姿が見えるのですか?」  俺がこくん、と頷くとライゾさんが突然、ほろほろっと泣き始める。  ええっ?  何?  この反応。  俺があわあわしているとライゾさんが手の甲で涙を拭ったかと思うといきなり俺にひれ伏した。    

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