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第19話※
丁寧なのか、それとも、ただひたすらに欲深いのか。もう、よくわからない。けれど、嫌なことなんてひとつもなかった。
カイルに触れられるところすべてが、心地いい。好きな人に触れられるって、こんなにも身体が反応するものなんだと、初めて知った。
ふたりは裸になり、肌と肌を重ね合った。
毎日を共に過ごしていたのに、まだ知らないことが、こんなにあるなんて。
この人の身体の厚み。大きな手。熱を帯びた肌。そして、驚くほど丁寧で、しつこいくらいに優しいキス。
「……っ、ん、あ……」
自分の口から漏れた声に、マイロは顔を赤らめて唇を噛んだ。
「……無理に噛むな。痛くなる」
そう囁くと、カイルはマイロの唇にもう一度そっとキスを落とす。まるで、「全部、俺のものだ」って言うみたいに、何度も何度も。
首筋、肩先、胸元……
どこまでも、どこまでも、口づけられていく。音が鳴るたび、マイロの身体がびくりと跳ねる。
今まで交わしたキスとはまったく違う。深く、熱く、溺れるような感覚。全部、カイルが教えてくれる。
「……力、抜けるか?」
カイルの声が低く響いた。指が、いつの間にかマイロの奥へと伸びていた。
最初は一本、次に二本と。
「……っ、あ、ん……!」
三本目が入ってくる。だけど、不思議と痛みはない。カイルの手が、あまりにも丁寧だからなのか。それどころか、時折どこか奥をかすめられるたび、喉の奥から甘い声が漏れそうになる。
「……もっと……」
もどかしさから、そんな言葉が零れた瞬間、カイルの手がぴたりと止まった。
そして、ゆっくりと指が抜けていく。
代わりに、マイロの奥に押し当てられたのは、火照るほど熱く、硬く滾ったもの。
マイロは息を呑んだ。何が来るのか、もうわかっている。けれど、逃げたくなかった。だってこの人が、好きだから。
ゆっくりと、でも容赦なく、指よりも太く、熱く、滾ったものが押し込まれてくる。
カイルの奥から伝わる脈動が、自分の中にまで響いてくるようで、マイロは小さく息を呑んだ。
「……っ、あ、ああ……っ」
「……痛むか?」
低く、掠れるようなカイルの声。マイロは首を振りながら、かすかに笑った。
「だいじょうぶ……痛くない」
むしろ身体が、それを欲しがっているのが、自分でもわかる。何度も重ねられた口づけ、愛撫、囁き。もう、心も身体も準備はできていた。
カイルに両脚をゆっくりと開かれ、さらに奥へと押し込まれていく。肌と肌がぴったりと重なり、どこもかしこも触れ合って、熱が逃げ場をなくしていく。
「……奥まで?全部……入った?」
マイロの問いかけに、カイルは短く息を吐きながら、深く答えた。
「ああ……全部……すごく、気持ちいい」
その一言だけで、マイロの中に熱がじわりと広がっていく。カイルの荒い吐息が首筋にかかり、その温度にゾクゾクと背筋が痺れる。
「はぁ……っ…ね、動いて……?」
自分から願ったその声に、カイルの表情が緩む。愛しそうにマイロの髪を撫でて、そっとキスをひとつした。
「……動くよ。優しくする。……お前が気持ちよくなるように」
ずるり、と一度抜きかけてから、ずっ、と奥へ。擦れるたびに、内側を押し広げられ、まだ知らない快感の波が押し寄せる。
「あ、ん……っ…やぁぁぁああ……っ!」
鈍く、けれどしっかりと奥を擦られて、マイロはのけぞった。何かが引き絞られるような感覚のあと、視界が一瞬白くなる。
「は、はぁ……う、そ、なんで……」
戸惑うほどに、勝手に身体が跳ねて、息が切れる。マイロは、自分がもう果てていることに気づいた。白いものが腹の上に流れていく。あっという間に射精していたらしい。
「マイロ……気持ちよかった?」
耳元に落ちてくるカイルの声が、妙に優しくて、くすぐったい。
「……わかんない、けど……すごかった……」
残精がとぷっと流れ出ていた。
全身が熱くて、恥ずかしくて、でも幸せで。身体の奥の奥まで、甘く満たされている感覚に、マイロはゆっくり目を閉じた。
「よかった。……でも、まだ終わりじゃないからな」
カイルの熱は、まだ奥で脈打っている。
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