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第6話

そんな日々を過ごして約半年、屋敷に突然の訪れがあった。 「おい!ここにいるのはわかってるんだ!私のオメガを返せ!」 「マウォルス様は外出中ですのでお取り継ぎできません。どうかお引き取りを」 「知らん!私の言うことが聞けないのか!」 どたどた足音をさせながら階段を上り、おれのいる部屋までやってきたのは壮年の男だった。 白髪混じりのブロンドにグレーの瞳で、その面立ちはマウォルス様によく似ていた。家族だろうか?身長も高いが、マウォルス様と比べると細いので小さく見える。いや、あの人が規格外なんだけど…… 男はおれを見つけた瞬間、ニタァっと薄気味悪い笑みを浮かべ近づいてきた。 「君だね?カンピドリオの至宝は。あぁ、美しい。これぞ私の理想とするオメガだ……」 「どちら様でしょうか?」 「カークス=アヴェンティーノだ。息子が失礼したね。まさか横取りするなんて!すぐに私の屋敷へ……ディアーナの元へ連れて行ってあげよう」 「あの、でもおれ……」 言い淀むおれに構わず、アヴェンティーノ伯爵は強い力でおれの手首を掴み部屋の外へ連れ出した。力が強すぎて手が痛いし、この人、おれの顔ばっかり見て話を全く聞いていない。 廊下には真っ青な顔をした家令と侍女が立っている。彼らの主人はマウォルス様だが、相手は伯爵家の当主。使用人が逆らうなんてできるはずもない。 おれはそのまま屋敷の外に付けてあった馬車に乗せられた。半年ぶりの外出だけど……喜ぶに喜べなかった。 やはりマウォルス様の行動は家族に許可を得ていなかったのだ。今さらディアーナ様に会ってどうしろというんだろう。もう別のアルファと結婚なんて無理だし。 しかもこの人……アヴェンティーノ伯爵の強引な態度。おれは生理的に嫌悪感を感じていた。 「さぁ、もう安心していい。すぐに君のいるべき場所へ連れていこう」 「あの、やっぱり……マウォルス様と話してからにしていただけませんか?」 「君の意見は聞いていないよ。さぁ、これを飲みなさい」 アヴェンティーノ伯爵は有無を言わさない様子で小瓶の蓋を開け、おれに持たせた。 中には琥珀色の液体が入っている。それは馬車の揺れに合わせて波打ち、酒のような香りが漂ってきた。 「なんですか?これ……」 「栄養剤だよ。君のためにわざわざ持ってきたんだ」 どう考えても怪しい。おれが一向に従わないのを見るや、伯爵は隣に腰掛けてきて瓶を持っている俺の手を握った。もう片方の手でおれの口をこじ開け、無理矢理その液体を流し込んだ。 「んーーー!……ゴホッ、けほっ」 「生意気なオメガめ。さてはマウォルスがよっぽど甘やかしたんだな?あいつほどアルファらしくないやつはいない。どれだけ発情したオメガを当てがっても抱こうとしないし、不能なんだ。なのに自分でオメガを囲おうとするとはな……お前を観賞用にしておくのはもったいないよ」 多少はこぼれたものの、その大半を飲んでしまった。酒はほとんど飲んだことがないが、相当度数が強いのか?喉を通った瞬間からカッと身体が熱くなる。 ぞくぞくとした感覚が腰から広がって、力が抜けた。思考に靄がかかる。おれはだんだんと激しくなる動悸に、それがただの酒ではないことを悟った。 「ぅ、なに……?」 「強力な発情誘発剤だよ。いまに何も考えられなくなって、アルファを求めるようになる。大丈夫だ、私がしっかり可愛がってやろう。……ん?お前フェロモンが弱いのか」 伯爵はおれの服のボタンをひとつひとつ外しながら告げる。マウォルス様と番になったいま、おれのフェロモンはマウォルス様にしか通用しないのだから当然だ。 衣擦れさえもが刺激になってつらい。急激に高まる熱に、おれは背もたれに身体を預けたまま抵抗する力さえ湧いてこなかった。 「あっ。いや!ま……マウォルスさまぁっ」 「あいつの名を呼ぶな!なんでフェロモンが香ってこない?お前……まさか」 髪を掴んで頭を下げることを強制される。おれの項をみた伯爵は怒声を上げた。 「どうしてお前に噛み跡がある!?相手は誰だ!」 「いた!やだ!マウォルスさまぁ、たすけ……」 「あいつか?嘘だろう。畜生!とにかく抱かせたまえ!お前は死ぬまでうちで奴隷のように扱ってやる」 「……っ!」 顔を上げた瞬間ガツッ!と拳で殴られ、座席から崩れ落ちる。狭い空間で伯爵はうつ伏せに倒れたおれのトラウザーズを下履きごと無理矢理脱がせた。 そして腰を持ち上げると、尻たぶを掴んで割りひらく。 「はっ、どろどろじゃないか!オメガは突っ込んでくれるなら誰でもいいんだろ?この淫売め」 「あん!ぅっ……ぐすっ。まるすさまぁ……ひぐっ」 敏感になった身体はなにをされてもびくびくと反応してしまう。それでも全身がこの男を拒否していた。おれは……おれにはあの人だけなのに。 そして後孔に硬いものが宛てがわれた。……いやだ!

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