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第48話 おやすみタイム

ベッドに置いて部屋着に着替えるべく、着ていた服を全部脱ぎ捨てる。 「は?」 「え?」 茂知が信じられないものを見るような目で見てくる。 何か変かな?と思ったところで、茂知も着替えたいのか!と思い至った。 「あ、待って。茂知でも着れるサイズのスウェット出す」 と、パンイチのままクローゼットを漁る。 確か…、茶之介くん用で買ったものがあったはず。 「お前さぁ…」 と頭を抱えている茂知にスウェットを投げてパスした。 しばらく動かなかったけれど、僕が着終わるころにようやくのそのそと服を脱ぎ始めた。 その姿を布団に横たわって眺める。 入所したての頃はひょろっと縦長だったのに、今じゃ筋肉もちゃんとついている。 おまけに顔が良い。 「羨ましいな~」とボソッと声が漏れた。 「何が?」と、振り返った茂知が言う。 「茂知も麦も茶之介くんも…、皆イケメンで羨ましい。 背が高くてがっしりしてるしね」 僕が僻みっぽく言うと、茂知は「そうか?」と答えた。 持っている人は自覚がないのか? 僕が膨れていると、「布団どこ?」と茂知が訊く。 「ん~…、あるけど、出すのめんどくさいからベッドで寝よう?」 「…」 茂知が僕を見下ろす。 え、顔が怖い。 「無理。じゃあソファで寝る」 「ええ!?体壊すよ!?」 「だったら布団ある場所を言え」 全く強情なんだから… 「じゃあ、僕も行くから起こして」 と茂知に手を伸ばす。 「はた連れてったら荷物増えるだろうが」 と、茂知は溜息を吐くが、優しいので手を掴んでくれる。 それを良いことに、僕は逆に茂知の手を引っ張った。 「うぉっ!?」と短く叫んで、茂知は僕の上にダイブする。 「計画通り~。 さ、ベッドで寝よう」 と僕は逃がさんばかりに茂知にしがみ付く。 暫く茂知は抵抗していたけれど、諦めた様子で脱力した。 「お前、どうなっても知らないからな」 「ん~?おやすみ」 何か言っている小煩い茂知を無視して僕は瞼を閉じる。 昔から嗅ぎ慣れた匂いだからか、僕はすっかり眠りに落ちた。

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