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第50話 衝撃の告白※
「じゃあ、今日一日くらい足腰が立たなくてもセーフだな」
「…、え?」
何でこうなった?
僕を押し倒した形で、上から睨む茂知と目が合う。
寝ぼけてて、間違えて蜂谷さんとのことを吐いてしまった。
褒められたことじゃない。
しかも、あの時誘ったのは僕の方だし。
でも、それでなぜ茂知に押し倒されているのかは分からない。
「考え事か?
あのクソ俳優の事でも考えてるのかよ」
だいぶ年上の人気な俳優に向かって…、酷い言いようだ。
「か、考えてないよ。
でも、あの時は僕の方が酔って誘ったんだって。
だから、100%蜂谷さんが悪いわけじゃ…」
「はあ?尚更最悪だろ」
茂知が顔を歪める。
あまり見たことない顔だ。
ぼーっと見上げていると、彼は舌打ちをした後に唇に唇を押し当てた。
えっ!?僕、茂知とキスした!!?
「これ は、クソ俳優とした?」
そう問われる。
正直あまり覚えていないんだけど…
「してない…、多分?」
「はぁ?」
僕の曖昧な回答に茂知が眉を寄せる。
「だって…、泥酔してたし、やったことも記憶がないの。
でも、僕の中から蜂谷さんの出したのが出てきたし、お尻は痛かったから、やることはやっ…」
そう言いかけたところで茂知が僕の口を手でふさぐ。
「悪いけどマジで聞きたくない、その話。
今は素面だし俺とのことはちゃんと覚えとけよ」
「え…?」
・
・
・
「あっ…、ああっ…」
僕の嬌声がどこか遠くで聞こえる。
お尻の穴からは、ぐちゃぐちゃと耳を塞ぎたくなるような水音が鳴っている。
「ここ、擦るとはたの中、めっちゃ締まる」
そう言って意地悪そうに笑う茂知の顔が良すぎて、胸がきゅっとなった。
それは肛門も連動する様で、締め付けてしまってさらに茂知は熱い息を吐いた。
「ったく…、どこもかしこも敏感でくそ腹が立つ。
本当にあのクソ俳優とやっただけか?」
なにやらブツブツ言っているが、僕はそれどころではない。
「もちぃ…」
縋るように手を伸ばすと、茂知は何を勘違いしたのか、その手を掴んでベッドに押し付ける。
「抵抗するなよ。
優しくできねぇだろ」
「やっ…、ちがぁあっ!?」
グンっと奥深いところを貫かれて絶叫してしまった。
違うのに…
ただ、抱きしめてほしいだけだったのに…
それから何度か揺すられて、茂知は中で果てたようだった。
言わずもがな、僕は何回イったか分からない。
とにかく、布団の上は大惨事だった。
ソレが抜けるとき、僕は思わず「んっ」と喘いでしまった。
少し寂しくもある。
僕が動けないでいると、茂知は愛おしそうに僕の腹を撫でた。
「何?」と問う。
「これがマーキングになって、はたに誰も近づかなくなればいいのにな」
何故か傷ついたような顔をしていて、僕は胸が苦しくなった。
「なんで…?」
なんでこんなことをしたのか、なんでそんなことを言うのか、なんで傷ついた顔をしているのか…、訊きたいことは山ほどあるのに。
「なんで?…、ずっと好きだったからに決まってるだろ。
はたが…、好きで大切だから、ずっと隠してきたのに…
全部掻っ攫われたんだ」
「え…」とまぬけな声が出る。
茂知が…、僕を?
「いつから…?」
そんなどうでもいい問いが出る。
「…、グループが出来た時から」
それって…、「めっちゃ最初からじゃん」
初期の頃の僕に好きになってもらう要素なんてあったか?
「お前のどのファンよりも先に俺が好きになった」
6年間…、ずっと?
その果てしない片思いの長さに僕は眩暈がしかける。
「まあ迷惑だよな。
今日の事、悪いと思ってる。
でも後悔はしてない」
そう言って茂知は僕を見下ろす。
目を見ても何を考えているのかさっぱり分からなかった。
「帰るわ」
僕が言葉を発せずにいると、茂知はそう言って手早く衣服を整えると寝室を出た。
言葉の通り帰ったのだろう。
早く体を洗って、中を掻き出して、布団やシーツを洗わなきゃいけない。
でも、僕はしばらく動き出すことが出来なかった。
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