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楽しいデート 4

「意外と泣けましたね!」 「そうですね…」  映画はアクションでもあり泣ける感動系でもあった。途中から宮子が隣でハンカチを使って涙を拭っていたのを裕司は見ていた。  しかし裕司はアクション映画にあまり没頭できない理由があった。宮子は映画が始まってから食べ物を食べるタイプだったらしく、上映され始めてからホットドリンクを口に含んだのだがそれがよくなかった。  裕司にはそれが、非常にエロく見えてしまったのだ。暗い中、頬を膨らませながら幸せそうに食べる宮子。欲求不満なのかと問われたらそうだと答えてしまうだろう。  実際二人は二年間一度も肌を重ねたこともなければ一緒の布団に入って寝たこともないのだ。あまりにも見過ぎて、宮子に食べますか?と聞かれたほどだった。 「裕司さんはどうでした?あの映画」  行き場のない気持ちを弄びながら宮子の問いに答える。 「アクション部分が爽快で結構気に入りました。あと、スタントマンがすごいなって」 「あー、確かに。あの空から飛び降りるシーンとかスタントマン使ってるでしょうし…裕司さんそういうとこ気づけるのすごいですね」  こういう映画を友達と来た時にスタントマンのことを話した際は興醒めすると言われてきた。けれど宮子は特に気にすることなく話してくれるのが嬉しかった。それと同時に、自分が宮子に欲情したのが申し訳なくなる。 「楽しかったですね!」  けれど宮子はそれに気づくことなく楽しそうに話しかけてくれる。これは気持ちを切り替えないといけない、と自分を奮い立たせた。  その後二人でグッズを見てパンフレットを買い、帰るためにエレベーターに乗った。その際ちょっとしたハプニングがあった。  休日だったためか人の量が多く、六階に着いた途端大量の人が乗ってきたのだ。一気に狭くなる庫内。自然と宮子と裕司が奥に行き、裕司は宮子を壁ドンする形で守ることになる。 「…」 「……」  会話はない。心音が聞こえるのではないかというくらいの近さで二人して緊張していると、後ろにいた人が裕司に当たってしまいさらに宮子と近づくことになった。  いい匂いがした。  

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