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旅行と性嗜好 2

 運転中は本当に快適だった。宮子は言われる前に行動することが多く、飲み物を取ってほしいと言われた時は必ず蓋を開けて渡してくれるし―もちろん開けているのは言ってくれる―、眠気覚ましのガムを持ってきており手に乗せてくれたり、時にはナビを確認して行き先を伝えてくれる時もあった。  美しく完璧な彼女。道路を走行中の男性陣に思わず自慢したくなる感情に襲われるがそれをどうにか堪えた。  そんなことしたら宮子の素晴らしさが世界中に知られてしまうし、なにより恥ずかしがった宮子に怒られてしまうかもしれない。それは…かわいいな。困るかと思ったが、かわいい方が勝ちそうだ。  …でも、宮子が怒った姿を裕司は見たことがなかった。ちらりと視線だけ宮子の方にやれば、先ほど裕司にも渡した眠気覚ましのミントガムを口に含むところだ。  寝ててもいいと言ったのに、ちゃんと起きていてくれるところに好感を感じる。 「宮子は三重県行ったことある?」 「ううん。中学と高校の修学旅行はどっちも関東だったし、地方から出たことないかな」 「そっか、中学と高校はどこ行ったの?」 「どっちも東京」 「定番だね。もしかしてネズミの国にも行った?」 「もちろん!一回目で周りきれなかったから二回目の東京の時に園内回りきれて楽しかった」  宮子はどんな話題にも丁寧に答えてくれるため、他愛無い話でも楽しく感じる。  今日は昼頃に着く予定なため、初日は伊勢神宮に行くことにしている。伊勢神宮は広く、内宮と外宮があるというのは聞いていたが詳しくは知らない。  そのため運転中に宮子にどのようにして参拝するのかを調べてもらい、伊勢神宮の参る方法がお伊勢参りということ、外宮から参るのがならわしなことを知った。それから一日で回りきれないということも。  海産物が美味しくて伊勢えびやひつまぶし、松坂牛が有名なこと、おかげ横丁という食べ歩きできる町が軒を連ねていることは事前の調べで知っている。  明日は水族館に行くかおかげ横丁に行くか悩んでいるところだ。その話をすると、宮子は水族館に、裕司はおかげ横丁に行きたいと意見が割れてしまった。 「どうしようね」 「私はどっちでも」 「でも水族館が楽しそうなのはほんとそうだんだよな…水族館ってどんな動物いたっけ」 「カニ、エビ、マグロ…」  食べれる系の魚類ばかりじゃないか。つい吹き出すと、宮子がえ?なんで笑うの!と講義をしてくる。 「かわいくてつい。もしかしてお腹すいた?」 「……うん、おなかすいた」  もう少しで食事するところも併設されているサービスエリアがある。そこまで我慢してて、と笑いながら言うと宮子は大人しく頷いた。

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