5 / 36

03-1.初めての恋※

「……ごめんなさい、アーサー」  カイルは二度も射精をしたことにより、理性を取り戻した。  理性を手放していた間のことは記憶がある。子どものような口調で誘惑をするなどと考えたこともなかった方法をとるとは、思ってもいなかった。  ……恥ずかしい。  オメガになるということは性処理を行うということだ。主人を誘惑して良いわけではない。教本がボロボロになるほどに読みこんだというのに、いざ、オメガになったら、なに一つ、実行できなかった。  ……オメガの才能がないんじゃないか。  元々アルファ性が強い。アルファとして生まれ、アルファらしくなるように厳しい教育を受けてきたのだ。それを一瞬でオメガらしくなるなどできるはずがなかった。 「なぜ、謝る」  アーサーは問いかける。  強引にカイルの体の向きを変え、向かい合う。  まっすぐな視線は獣のようだった。発情期の獣のような視線を向けられ、カイルは頬を赤く染める。 「番契約させた上に、みっともない姿を見せてしまいました」 「問題はない」 「それに、俺、噛まれてイっちゃいました……」  カイルは恥ずかしいと言わんばかりに顔を両手で隠した。  ……舐められただけでも達してしまった。  二度も射精をするとは思わなかった。  それだけでも恥ずかしいことだった。 「最後までしたいんだが」  アーサーは小さな声で呟いた。 「だめだろうか?」 「……だめじゃないです」 「そうか。それはよかった」  アーサーはカイルの服を脱がせていく。  ……緊張してきた。  情けのない姿を見せたことに泣いて謝りたい気分だった。慎重に服のボタンを外していくアーサーを見つめるだけで、心臓が飛び出そうなほどに激しく動く。  ……好きなんだ。  アーサーを見て実感した。  恋心を隠さなくてもいいのだ。 「アーサー」  カイルはアーサーの名前を口にする。  それに対し、アーサーはなにかあったのかと言わんばかりの顔をした。 「好きです。アーサー」  カイルの言葉にアーサーは手を止めた、  それから、瞬きを何回もする。驚いているようだった。 「番になった影響か?」  アーサーはすぐに好かれないと思っていた。  その為、番関係になった影響がでたのだろうと判断したようだ。 「違います。ずっと、ずっと、好きだったんです」  カイルは初恋をようやく自覚した。  長い間、忘れようとしてきた恋だった。 「アルファだから結ばれないと思っていたんです」 「私も同じだ」 「それに、俺は十歳も年下ですし。相手にされないと勝手に思っていました」  カイルは話し始めると止まらなかった。  体中の熱を発散させたいと言わんばかりに股間は盛り上がっており、話をしている余裕などカイルにはなかった。それなのに涙が止まらない。 「俺、オメガになってよかったです」  カイルは泣きながらそう言った。  泣いてしまったカイルにアーサーは手を出すことができなかった。  服を脱がされたまま、泣いているカイルの姿にアーサーは息を飲んで見守る。いまさら、セックスを止めようとは言い出せなかった。 「――ごめんなさい」  十分後、泣きやんだカイルはまた謝罪の言葉を口にした。 「問題ない」  アーサーはカイルの胸に手を伸ばす。 「待ては慣れているのでな」 「待て、ですか?」 「そうだ。手を出さないようにするのには慣れが必要だ」  アーサーはカイルの両胸を優しく揉んでいく。  感覚が過敏になっているカイルはそれだけで腰を動かしてしまう。 「我慢していたんだ」  アーサーはカイルの乳首を優しく触れた。 「あっ」  カイルはそれだけで甘い声をあげる。 「ずっと、手に入れたかった」  アーサーは笑った。  目の前で押し倒されているカイルが自分の所有物になったのだという優越感に浸る。 「お前は鈍感だな」 「よく言われます」 「それなのに体は敏感だ」 「それは――、ひゃんっ」  カイルは薬の影響だと言い訳をしようとしたが、喘ぎ声でかき消されてしまう。 「ひっ、ひゃっ、んんっ」  両乳首を摘ままれる。  そのまま、上下に擦られる。  激しく動かされるたびにカイルは喘ぎ声をあげた。 「やだ、やだ、やだっ! イっちゃいますからっ」  カイルは激しく抵抗をした。  それに対し、アーサーはお仕置きだと言わんばかりに爪で乳首を弾いた。 「ひっぐっ」  カイルは喘ぎ声をあげた。  爪で乳首をカリカリとされるだけで射精をしてしまった。余韻が残っているのか、頭の中が真っ白になり、体が痙攣をしている。その間もアーサーはカイルの乳首を弄っていた。 「それ、やだって、いってるぅっ」  カイルは必死に抵抗をする。  その声はアーサーには届かない。 「指が嫌なら舐めようか」  アーサーは飴を舐めるように右乳首を舐める。 「ひゃんっ」  カイルの腰は止まらない。  腹の奥深くが熱くなるのを感じた、  アーサーは乳首を舐めながら、片手で左乳首を弄るのをやめない。その快感は凄まじいものだった。抵抗空しく、カイルは三度目の射精をしてしまう。  ……おかしくなる!  頭の中が蕩けだしそうだった。  抵抗する気力すらなくなり、されるがままになっているカイルを見て、ようやくアーサーは乳首を弄るのを止めた。 「下も脱ごうか」  アーサーの言葉に反論はできなかった。

ともだちにシェアしよう!