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03-2.初めての恋※
反論をする前にアーサーはカイルのズボンに手をかけており、慣れた手つきで脱がしていく。
「びっしょりだな」
「見ないでください」
カイルは必死に隠そうとするが、あっけなく、下着も脱がされてしまった。
「かわいいな」
アーサーは抵抗を止めないカイルがかわいくてしかたがなかった。
その手はカイルの尻に当てられ、ゆっくりと指を尻の穴に入れていく。
「ひっ」
カイルは悲鳴に似た声をあげた。
「そこはだめです!」
カイルの言葉がアーサーを止めることはできなかった。
アーサーの指が前立腺に触れる。
「ひゃんっ」
カイルは喘ぎ声をあげた。
「濡れてるな」
「そんなわけがありません!」
「自覚がないのか?」
アーサーは指で前立腺を擦る。そのたびにカイルは喘ぎ声をあげた。
穴からは愛液が漏れており、カイルが否定してもその量は増える一方であった。体がアルファからオメガへと変貌を遂げている証拠だった。それを認めないと言わんばかりの顔をするものの、アーサーに前立腺を刺激されると蕩けたような顔になってしまう。
「ひっ、んんっ」
カイルは体を捩る。
必死に快楽から逃げようとするカイルに追い打ちをかけるように、アーサーは指を二本に増やした。
「やだ! また、いっちゃうっ」
カイルは言葉遣いを気を付けている余裕すらなかった。
腰が動いてしまう。
頭が真っ白になるほどの強い快感に身体を震わせる。しかし、射精はしなかった。射精をした時よりも快感は深く長いものであった。
目の前がチカチカとする。
「中でイけたな」
アーサーは満足そうに笑った。
それから、そそくさと自身のズボンに手をかける。
限界まで腫れあがった陰茎をカイルの穴に当て、ゆっくりと中に侵入していく。
「ひっ」
カイルは悲鳴をあげた。
腹の奥底でそれを待っていたのを感じる。
「ま、待って、アーサー。俺、イってる、から」
「待てない」
アーサーは奥まで一気についた。
その衝撃でカイルは射精をした。
* * *
穴から零れるほどに中出しをされたカイルは気を失っていた。
……痛みがなかった。
強い快感の中に放り出された気分だった。
それがオメガになったということだと嫌になるほどに実感する。一過性の発情期を体験し、そのままの勢いでセックスをしてしまったことに気づき、顔を真っ赤に染める。
……気持ちよくて頭がおかしくなるかと思った。
処女だったのだ。痛みはあったはずである。しかし、それを上回る快感で痛みさえも気持ちよく感じていた。
「……目が覚めたか」
アーサーに声をかけられ、慌てて飛び起きる。
飛び起きると同時に腰に電気が走ったような痛みが生じた。痛みがないと錯覚していたのは横になっていたからのようである。
「は、い。アーサー」
「大丈夫ではなさそうだな。医者を呼ぼうか?」
「いいえ。必要ありません」
カイルは慌てて否定した。
……医者を呼んだところで安静にしていろと言われるだけだ。
なにより、なにをしたのか聞かれるだけで恥をかくようなものだ。
「初めてでしたので。今後は慣れていくと思います」
カイルは騎士だった。
騎士は体を鍛えることが仕事である。
その為、痛みの伴う訓練も受けたことがあった。それと同様に考えたのだ。
「初めてか」
「はい」
「それは、……手加減をするべきだったな」
アーサーは言いかけた言葉を途中で変えた。
……口元が緩んでいる。
笑っているようだ。
にやけているのにも近いかもしれない。
「アーサー、鉄仮面の騎士団長の異名が泣きますよ」
「なんだ、その異名は」
「知らないのですか? 社交界では有名ですよ」
カイルの言葉にアーサーはなにも言わなかった。
どうやら心当たりがないようだ。
「無表情で鉄仮面を被っているみたいな顔をしているから、そう言われていました。令嬢たちは怖がっていましたよ」
「そうか。それは好都合だったな」
「え? 怖がられるためにしていたんですか?」
カイルは驚いた。
令嬢たちに怖がられて、社交界から浮きたいと思ったことは一度もなかった。それどころか、妹を溺愛している性格の難さえなければ、カイルは非常に人気だっただろう。
妹は溺愛されるのに値しない性格をしていた。
気に入らなければなんだってする人だった。それを好きなだけ甘やかす姿は社交界でも有名であり、カイルが不人気の原因だった。
……怖がられたい人もいるのか。
意外だった。
カイルは人気者になりたいと思っていたこともある。セシリアを溺愛してさえいなければ、その欲望は叶ったことだろう。
そうすることでしか恋心をごまかせなかった。
「カイルにだけ好かれていればいい」
アーサーの言葉に対し、カイルは頬を赤く染めた。
「そうですか」
カイルは照れくさそうに返事をした。
それから無意識に手で首に触れる。噛み痕がはっきりと残っていることを指で確認し、番になったのだということを再認識した。
「アーサーの番になれて俺は幸せです」
カイルは上半身を起こした。
体は痛みを発しているが、我慢できないほどではない。
「好きです。アーサー」
カイルはアーサーを見つめた。
あいかわらず、なにを考えているのかわからない。しかし、愛の告白を受けて困惑している様子ではなかった。
当然のように受け止めている。
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