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02-6.大公の暴走
「では、胸ではいかないのか?」
「わかりません。服の上からではくすぐったいだけです」
「直接触ってもいいか?」
アーサーは確認をする。
嫌がるようなことはしたくはなかった。
「かまいませんよ」
カイルは自分で服を脱ごうとして、止められた。
「私が脱がそう」
アーサーはカイルの服のボタンに手をかける。
ゆっくりとした動作だった。緊張をしているのかもしれない。
……かわいらしい人だ。
アルファの本能が弱いからだろうか。
威圧を受けることもなく、安心して身を任せられる。それは番だからなのかもしれない。
……俺がオメガでよかったのか?
カイルはアルファの時と同じように相手を威圧できる。
フェロモンは番にしか通じないものの、アルファ特有の威圧行為はそのままだ。
……アーサーの方がオメガの適性があったのかもしれない。
カイルは服を脱がされながら、そんなことを考える。
「綺麗だ」
「そうですか、ありがとございます」
「関心がないのか?」
アーサーの問いかけにカイルは首を傾げた。
「人に見せる場所ではないので。褒められることもありませんね」
カイルの言葉にアーサーは納得したように頷いた。
騎士団に努めていた時は裸になることはあったものの、意識をしたことはなかった。
「私だけが見ていい場所だ」
「子どもができれば子どもが優先ですよ」
カイルは冷静に答える。
その言葉にアーサーはなにを考えたのか、頬を赤くする。
「なにを想像しているんですか」
カイルは呆れたように声をかけた。
「子どもを産む為に結婚をしたのでしょう」
カイルの言葉はアーサーの心を傷つけた。
「……その為だけではない」
アーサーは服を脱がし終わり、カイルの胸にゆっくりと手を伸ばす。
「カイルがほしかった」
アーサーはカイルの乳首を指で優しく撫ぜた。
ゆっくりとした刺激は物足りなさを感じる。
「カイル」
乳首を爪で引っかく。
「物足りないのか?」
アーサーは問いかける。
爪で引っかくとカイルは体を少しひねった。刺激が逃げようとしているようだった。
「ちがっ」
カイルは否定しようとしたが、腰が動いてしまう。
物足りないと本能が訴えている。
「爪で引っかかれるのは好きだな?」
「ひゃんっ」
「弾かれるのも好きなようだ」
アーサーは実況をしながら、カイルを弄ぶ。
その言葉にカイルは頬を赤くした。自覚はあまりしていなかった。
両手で乳首を摘ままれ、引っ張られる。
「んっ」
カイルは腰を動かしていた。
無意識だった。
「ひゃ、あ、あ、あんっ」
両手で乳首を包まれ、引っ張られたまま、射精をする。
「胸でいけたな」
アーサーは手を離した。
「なにを喜んでいるんですか!」
それに対し、カイルは頬を赤くしたまま、抗議をするかのように睨みつけた。
下着が濡れた感覚が気持ち悪い。それなのに腹の奥が疼き、尻の中が濡れていくのを感じてしまう。早く中に欲しいと身体が訴えているようだった。
「かわいらしいと思ってな」
アーサーはそう言いながら、カイルのズボンに手をかけた。
脱がすことになにも戸惑いがない。
「見ないでください!」
「どうして?」
「漏らしているようで嫌なんです!」
カイルは下着を両手で隠す。
その姿がいじらしく、かわいらしい。アーサーは息を飲んだ。
「だめだ」
アーサーは容赦なく、カイルの手を退けた。
「かわいらしいな」
アーサーの手で下着が脱がされた。
先走りで濡れている陰茎は僅かに起き上っている。一度射精をしただけでは物足りないというかのように、主張をしていた。
「カイル。自分でしてみせてくれないか?」
「嫌ですよ」
「どうしてもか?」
アーサーの問いかけにカイルは首を縦振った。
……そんな恥ずかしいことができるわけがない。
カイルは頑なに首を縦に振った。
「どうしてだ」
アーサーに問われるとドキッとする。
……機嫌を損ねてはいけない。
番としての本能だろうか。それとも、オメガの本能か。番を怒らせてはならないと本能が叫んでいるのを感じた。
「恥ずかしいからです」
カイルは素直に答えた。
しかし、アーサーは興奮しきっていた。
「恥ずかしがる姿が見たい」
アーサーは欲望に忠実だった。
「……一回だけですよ」
カイルは自分自身の陰茎に手を伸ばす。それを上下に動かす。
その間、アーサーはカイルを見つめていた。見つめられているだけだというのに、カイルは興奮しきった獣のように手を動かす。
「んっ」
普段から自分で抜かない方だった。
その為、やり方がぎこちない。刺激をすれば達するだろうという考えがアーサーにも伝わってしまった。その初々しい姿はアーサーを興奮させた。
一度射精をしたからだろうか。
それとも、アーサーに見られているからだろうか。
「んんっ」
カイルは射精をした。
自身の手を汚してしまう。それが気持ち悪くて傍に置いてあったティッシュを掴み、ふき取る。
「……満足しましたか?」
「もう一度見たい」
「嫌ですよ。一回だけだって言ったでしょう」
カイルが断固として二度としないという表情をしていると、アーサーも諦めたようだ。そして、カイルの足を持ち上げ、尻の穴に指を入れる。
「ひゃん! アーサー! 事前に言ってください!」
カイルは喘ぎ声をあげながら、怒った。
それに対し、アーサーは申し訳なさそうな顔をして見せた。
申し訳なさそうな顔をしているだけであり、実際はなんとも思っていない。そのことに気づいたカイルは抗議しようと口を開いたが、喘ぎ声しか零れない。
「前立腺は弱いな」
アーサーは前立腺を強く擦る。
いつのまにか、一本だった指が二本になり、前立腺を挟むようにして擦っていく。そのたびにカイルの腰は揺れ、射精を繰り返す。何度目の射精かわからない。擦られるたびに射精をしているような感覚だった。
「ひ、や、んんっ!」
カイルは喘ぎ語をあげる。
「お゛っ」
カイルは低い喘ぎ声をあげた。
再び射精をする。射精が止まらない。
目の前が真っ白になるような感覚があるのにもかかわらず、腹の奥が疼いたままだ、快感の渦の中から出られなくなるような気分だった。
「これだけ解れていれば大丈夫だろう」
アーサーは確かめるように前立腺を指で弾いた。
射精は止まっておらず、また達してしまったのか、堪えたのか、判断がつかない。
アーサーは自身のズボンに手をかけ、太く硬くなった陰茎を取り出す。それをカイルの尻に当てる。
「ひっ」
カイルは悟ったような声をあげた。
「待って! 避妊具を――!」
カイルは言い切る前にアーサーの陰茎がカイルの尻の穴の中に吸い込まれるように入っていく。その衝撃で再び達してしまった。今度は射精はしなかった。
中の衝撃で達してしまった。
そうすると体が痙攣を起こしたように、しばらく、快楽から戻ってこられない。
「カイル」
アーサーは激しく腰を打ちつける。
そのたびにカイルの口からは喘ぎ声が漏れる。
「愛している」
アーサーは激しく腰を打ちつけながら、愛の言葉を口にする。
そうするとカイルも答えるように達してしまった。達した勢いで中が引き締まり、アーサーも射精をしてしまう。
腹の奥ではそれを待っていたかのような感覚がある。
満たされていく感覚だ。
それを知りたくはなかった。
知ってしまえば、二度と戻れないような気がした。
「愛しているんだ」
アーサーの愛の囁いがカイルの理性を奪っていく。
* * *
……最悪だ。
何度も射精をされてしまった。
それを止めることなく、受け入れてしまった。
その事実に落ち込んだかのように、カイルは布団の中に隠れてしまう。
「カイル、すまなかった」
「思っていないでしょう」
「いや、子作りをするのならば必要ないだろう?」
アーサーは開き直りながら、形だけの謝罪をする。
カイルは布団の中から顔だけを出す。カメのような姿になっている自覚はないのだろう。
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