24 / 36

03-3.監禁の噂※

 反乱を企てたとして絞首台に送られるようなものだ。それだけは避けたかった。 「会わせなければいいだろう」  アーサーは互いに距離をとれば解決する問題と考えているようだ。 「社交界も禁止だ。屋敷の外に出ることも許さない」 「アーサー。俺を監禁するつもりですか」 「そうだ。そうすれば、解決する話だろう」  アーサーは本気のようだ。  ゆっくりと抱きしめるのを止めた途端、カイルはアーサーの顔を平手打ちした。 「バカですか?」  カイルはアーサーを責める。 「噂を真実にしてどうするつもりですか!」  カイルは怒った。  ……信用されていないのか。  運命の番に出会えば心が揺れ動くと思われているのが、腹が立った。 「俺を信用してくださいよ、アーサー」  カイルの言葉にアーサーは目を見開いた。 「信用している」 「どこがですか。信用している相手を監禁しようなんてするバカはアーサーだけです」  カイルは涙を流した。  信用されていないようで悔しかったのだ。 「運命の番は信用できない」  アーサーは悲しそうに呟いた。 「庶子とはいえ、王族だ。殺してしまうわけにはいかない」 「当然でしょう。犯罪行為はさせません」 「だからこそ、不安なんだ。わかってくれ」  アーサーはカイルを抱きしめた。  カイルはそれを受け入れる。  ……わかってる。  運命の番は伝説上のものではなかった。  ……アーサーが運命の番だったら、よかったのに。  そうすれば、悩むこともなかったはずだ。 「……わかりました」  カイルはアーサーの想いを聞き入れることにした。  ……自称運命の番か。  カイルにはわからなかった。  ……厄介だな。  アドルフがなにを企んでいるのか、わからない。しかし、運命の番は互いに惹かれ合うものだとカイルは認識をしていた。アーサーも同じ認識だろう。  だからこそ、恐ろしいのだ。  顔を見合わせた途端になにかが変わってしまうかもしれない。  ……偽物ならばいいが。  偽物の可能性も高い。  しかし、運命の番ではないと言い切れなかった。 「今日は激しく抱いてください。俺が運命の番なんてものに揺るがないように、念入りに、アーサーの匂いをつけてください」  カイルはおねだりをした。  ……アーサーの匂いは心地いい。  良い匂いがする。  それを身にまとっていれば、誰もがアーサーの番だとわかるだろう。 「いいのか」  アーサーは遠慮がちに聞いた。  やはり、運命の番について思うことがあるのだろう。。 「もちろんです」  カイルは即答した。  その返事を聞き、アーサーはカイルに深い口付けをした。  舌が絡み合い、互いの口の中を犯していく。水音が響くほどに激しく動かされ、カイルは息をするので必死だった。  ゆっくりと唇が離れていく。  抱きしめられていた両腕も離れ、カイルはベッドに押し倒された。 「カイル」  アーサーはカイルの服に手をかける。 「愛している」  アーサーは泣きそうだった。  ……どうして、苦しそうな顔をする?  カイルは服を脱がされながら、アーサーの表情が気がかりだった。  ……なにかを間違えたのか?  選択の失敗をしてしまったのだろうか。 「俺も愛しています」  カイルは素直に愛を囁いた。  本音だった。  本当に愛していた。  それなのに、なぜ、胸の奥が痛むのだろうか。 「俺の運命はアーサーです。他の番はいりません」 「そうだといいな」 「当然でしょう? いまさら、大公夫人の座を譲るつもりはありませんよ」  カイルは笑ってみせた。 「だから、番契約の破棄なんて考えないでくださいね」  カイルは釘を刺す。  その言葉にアーサーの目が逸らされた。  ……やっぱり、考えていたか。  バース性についての知識がアーサーは浅い。  オメガが一生に一度しか番を作れないことを知らないのだろう。 「番契約を破棄されたオメガがどうなるのか、知ってますか?」 「運命の番と幸せになるんだろう」 「違います。狂って死んでしまうのです」  カイルの言葉にアーサーの動きが止まった。  洋服のボタンはすべて外され、上半身は裸にされている。その状態で次に薦めなくなったのだ。  ……知らなかったのだろう。  オメガの生態について知らないままでいるのは危険だ。 「言いましたよね。オメガは一生に一度しか番を作りません。番契約の破棄をされてしまえば、一生、苦しみ続けるか、死を選ぶか、どちらかになります」  カイルはオメガだ。  性転換の妙薬を使ったオメガとはいえ、本能はオメガに切り替わっている。  番を新たに作ることはできないだろう。 「俺にそんな思いをさせないでくださいね、アーサー」  カイルは念入りに釘を刺した。 「させない」  アーサーは両手でカイルの胸を触る。  考え直したようだ。  もう思い詰めたかのように泣きそうな顔はしていない。 「カイルは私の番だ」  アーサーは乳首を爪で弾く、 「ひゃんっ」  カイルはそれに対し、喘ぎ声をあげた。  爪で弾かれる刺激に弱かった。アーサーは乳首をカリカリと引っかくように刺激をすれば、カイルは身を捩って逃げようとした。

ともだちにシェアしよう!