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第6話

「なぁ、邦正さっきの本当にしないのか?」 「バカか! じょっ冗談に決まってるだろ!」 「へぇ……」 横目で見てニヤニヤ笑う壱規から目を逸らした。 「どうしようのないヤリチンで尻軽だったのになとうした?」 男はおまえだけだつーの! 「うるさいな…それは昔の話だ!」 「智子さんにおまえは色んなと教わったんだな。妬ける」 教わったって……妬ける?! 何言って…… 「俺らやり直さないか?」 「はぁ?! 何を?」 「俺ら付き合ってたんじゃないのか?」 「いやいや! 俺、別の奴と付き合ってただろ」 壱規の驚いた顔に俺が驚いた。 「あれ邦正の浮気だと思ってた」 「俺ら付き合うなんて一言も言ってない!」 「じゃ今言う。邦正、俺と付き合って」 「バカじゃないのかおまえ……昔とは違う。バツイチ子持ちのおっさんなんだぞ!」 「じゃなんで俺を呼んだんだ。おまえの家の隣に……」 「それは……心配だったから」 「へぇ……でなんで俺を避けてんの?」 「避けてない!」 「俺の事好きか?」 「……じゃねぇよ!ああ〜〜もう〜〜うっさいな!」 「邦正、可愛い……」 ぐっ! つーかタクシーの中のじゃねか! 絶対……面白がってる! クッソ! 「おまえなんか大嫌いだ!」 「光〜〜栄です」 とびきりの壱規スマイルをしてみせた。懐かしい胸の騒めきを感じて壱規から目を逸らした。 なにときめいてんだよっ! クッソ腹立つっ!!

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