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第8話

特に行きたい高校がない俺は邦正と同じ学校にした。クラスは別だったが相変わらず仲のいい友人だった。 そして友人から特別なものになったあの日。邦正に誘われたライブで俺は飲めない酒を飲んで酔っていた。妙に緊張していた俺は、勧められるまま酒を飲んでしまったからだ。 邦正は俺より酷い酔い方をしていて、気分が悪いと言って邦正をトイレで介抱していた時だった。色白の邦正は酒のせいで頬から首筋の辺りまで赤くなっていた。なんだかそれが色っぽくて目を逸らした。 確かに邦正は俺より身長が低く、色白で綺麗な顔をしている。たが、一般で言うと普通に男だ。きっと俺は自覚しているより、酔っていたのかもしれない。 なんなんだこの妙な気持ちは…… ふらついた邦正を抱き止めた。赤い頬に潤んだ瞳や唇……そんな邦正を見た俺は目を離せなかった。邦正の潤んだ目と合った時、考えるより先に体が動いていた。俺は……邦正にキスをしていた。 その時したキスの感触や邦正の酔って潤んだ瞳を思い出しては、悶々としていた。意識せずにはいられたかった。 俺は二人になると、クラブでしたキスの感触からその先の肌の感触まで知りたくなってしまう。最初は抵抗するもののキスをすると蕩ける。想像じゃない邦正に触れて そうじゃないと気付いたのは暫く経った頃、他の奴と遊んでは戻って来るようになった。俺はその度、嫉妬でどうにかなりそうなのに本当の事を言えなかった。嫌われるのが怖かったからだ。最終的に俺の元へ戻って来てくれるならそれでいいと思ってた。 何度も違う人を好きになる努力をしてみた。もうあんな辛い思いをするならこっちから言ってやればいいと。なのに邦正を見ると言えなかった。 邦正が俺を好きじゃなくても俺はずっと好きだった……

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