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Kurose's Side Day1-2

急ぎ足で近づいたプレハブ小屋を改めて見つめる。 ……正直、俺もこのプレハブがあることなど知らなかった。 今日はかなり森の奥まで来てしまってたから、 恐らく俺の行動範囲外なのだろう。 だとしても、こんな建物、一体誰が使うのだろうか。 正面玄関は1つ、窓はいくつかあるが、このままでは月明かりでバレてしまう。 しばらくプレハブ周辺を探ってみると、建物裏手、山の崖側に位置する壁に、 光が少なく、視界がよさそうな窓がついていた。 「建築基準法的に大丈夫なのか、この建物・・・」 そんな大人な心配を拭い、俺はプレハブに入り込んだ青年を探した。 彼はと言うと、既に中に入り込んで、その表情を好奇心と緊張に歪ませていた。 「あのー…誰かいますかー…って、ここまで入ったのに余計な心配か。埃っぽいし、多分いない……よね?」 最初こそはビクついていた彼も、人がいないことを確認できると、 すぐさまプレハブの中を探り始める。 「なんか色々あるなここ……これは、マット?うわ、テレビもある!あっちに扉……うそっ、こっちの部屋にも色々あるじゃん!」 「この蛇口は……あ、水出るんだ。綺麗そうだし、飲むのは無理でも洗い物はできるか……ん、なんでローションとゴム、ここにあるんだ?」 ……さっきまでの妖艶さはどこへ行ったか、 彼は好奇心旺盛な「少年」のような瞳でプレハブを見渡している。 見当違いだったのだろうか……お仲間を見つけたつもりだったが違ったらしい。 期待はずれな思いから立ち去ろうと立ち上がる姿勢を取る。 その時。 「……ここ、けっこういいな……広めだし……人いなそーだし……ひとりでヤるなら……」 そう聞こえたかと思うと、彼は急にジーンズとパンツを脱ぎ捨てた。 シャツ1枚となった裸体は、青年らしい、肉付きの良い体つきをしている。 傷をあまり知らない、白くやわらかそうな肌で、 全体の線は細いが腹筋ははっきりと見えている。 なにかスポーツによって鍛えられてるのだろう。 彼は脱いだジーンズとパンツを軽く畳むと、近くの窓を開けた。 風が、両手を広げて立つ彼の着ているシャツをなびかせている。 かと思うと、少し窓からずれ、壁に手をついて腰を深く突き出し、 前後にグラインドさせるような動きを見せる。 その動きは稚拙で煽情的とは言えなかったが、 それでもあまりにもむき出しな姿。 ……いつの間にか、そんな彼から、目を離せなくなっていた。 「うぅん……ふぅ、よし!今日はここでするか!」 そう元気よく意気込んだ彼は、早速壁にもたれかかる。 シャツを左右に開き、壁にもたれて乳首を弄りはじめる。 さっきの俺と同じように、腰を前に突き出し、 前後に揺らして、勃起した性器を揺らしている。 「……はぁ……んっ……だめっ」 ……普通ではない。 彼は、オナニーを始めたのだ。 しかも、ただのオナニーではない。 誰もいないとはいえ、すべてをさらけ出し、森の中でオナニーを始めたのだ。 「……んっ、ふぅっ……あぁっ……きもちっ……」 声はひそやかだったが、俺の耳にはすべて届いていた。 窓枠に隠れるように身を潜めながら、熱のような呼吸が漏れ始めた彼の声に耳を傾け、視線を彼に向け続ける。 それがただの自慰であっても、いや、自慰であるからこそ、 俺の胸にせり上がる衝動は制御が効かなかったのだ。 「はぁ…ふ……っ、あっ…やば……」 「気持ちいい……やっぱこういうの、やめられない……」 「あぁっ!すっごい……やっば……きもちいい!あぁっ!」 無防備な尻、艶めかしく汗ばんだ胸元、うめきと共にくぐもる吐息。 すべてが“見られること”を前提としているかのような、芸術的な世界を描いている。 (……なぜ、こんな……) 思考の輪郭が溶けていく。 誰かの秘密を得てしまう気まずさに理性は警告を鳴らしていた。 でも、身体はすでに引き返す術を失っていた。 青年は俺とは対照的に、むしろそれどころか腰の動きが徐々に大胆になっていく。 壁に両手をつき、背筋を反らせ、 額をぺたりとつけると、彼は呟いた。 「お尻の穴、夜なのに丸見えじゃん……」 「こうやって……お尻降って……うっわ、俺めっちゃ変態じゃん」 「っ!?」 何故か彼は、反対側の窓に見えるようにお尻を降り始めた。 そして……お尻に自分の指を入れ始めたのだ。 「あっ!お尻……穴のまわりくるくるっと……うぅん!これ最高!」 「……まずっ、指3本も入るようになってるや……へへっ、俺はやっぱ変態かなっ」 彼は、やはり窓に向けて、見せつけるような仕草で、 何度も……何度もお尻の穴に指を出し入れしてる。 残念ながら、俺は男に興味などない。 ただ、この体格とあそこの大きさゆえに、恋愛経験は薄い。 だからこそ、毎日溜まる性欲の発散の仕方に悩んでいたのだ。 彼は……そんな性欲の発散を楽しんでる。 わざと、誰かに見せつけるような形で。 己の姿を誰かに見せたいと……そうした想いを持って。 次第に登る月夜の輝きに照らされたその光景は、美しさと妖艶さが増した姿に変わってた。 「……だれかに見られてるかも、って……思うと……やばっ、興奮する……っ」 ……やはり、彼は誰かに見られたいのだ。 俺の興奮は更に強くなる。 なんだ、この子は。 なぜ、こんな──。 「……あれ、使えるかも……」 彼の動きが変わる。彼は何かを視界に捉え、にやけた。 彼の視線の先は、奥の部屋から見えた、やや小さめの平均台だ。 体育倉庫でもないのに、なぜあんなものが……。 ただ、今の彼はそんなことを考えるより、 面白いおもちゃを見つけたかのような好奇心に溢れていた。 彼は平均台を引きずり出し、細い側を壁にくっつける。 そして今度は、何かをバッグから取りだした。 透明なあれは──ディルドか?それに大きめなローションまで。 とても学生用のカバンに入ってるアイテムとは思えないものだが、 彼は手早くディルドを平均台に固定した。 「この前買ったやつ、家じゃ中々使えなかったんだよな。ここでなら、思いっきり使えるかも♪」 独り言を話しながらゆっくりローションをディルドに纏わせ、 片手でディルドに、もう片手でお尻の秘部……アナルに、 ローションを馴染ませていく。 「うぅんっ……そろそろっ……かなっ」 彼の顔つきは、次第に恍惚さを見せ始めた。 そして平均台に跨り、まるで正常位のような体制で、 ゆっくり、慎重に、それを体内に迎え入れていく。 「ふぅう……んんっ!、入ってくる……はいってくるぅ……」 かりそめのイチモツを受け入れ、仰け反った彼の後ろ姿が月明かりに照らされ、 輪郭を妖しく縁取っている。 細く、だが決して痩せすぎていない肉付きのいい体つき。 しなやかで、濡れて、乱れて……。 「もっと……ちゃんと見てよ……奥まで……届いて……っ、ん……っ」 ──え? 「俺のこと、見て……お願い、見てて……」 思わず喉が鳴る。 俺の存在に気づいたのか? いや、自分以外がここにいることを知れば、 いくら性欲の塊になった彼でも動きを止めるだろう。 おそらくあれは……そういうプレイなのだ。 「あぁ...そう、もっと、もっと俺の恥ずかしいところっぅうん!」 この子は見られたいのだ。 そのことに悦びを見出しているのだ。 「だめぇ!見られたら、ダメなこと・・・してるのにっ、ふうぅんっ!」 なんて子だ。いや、なんて── 「・・・ねぇ、まだ見てて、ちゃんと…俺、すごいでしょ……ほらぁっ!」 彼は立ち上がり、こちらを向き直して、ギンギンに立ち上がった 性器の形と大きさを誇示しつつ体制を変え、 お尻に再度ディルドを迎え入れる 「……ねぇ、俺のカラダ、意外と鍛えられてる……よなっああぁっ!」 「あんっ!こんなっ、デカチンっ、揺らしてっ、楽しむっ、変態っ、なのぉぁああ!!」 「ねぇ、見て!もっと!俺を!みてぇぇ……」 まるで、自分に向けて言われたような気がして、足元がふらつく。 恍惚とした彼の表情は、もはや視点が定まっていない。 「もっと…もっっ……あぁぁ!そこっ、すごい!きもちいい!!」 急に身体をのけぞらせる。どうやら、中のイイところに当たった声だろう。 そのままでいられなくなった彼は、後ろに手を付き、 前に突き出した腰を素早く上下して、 己の快楽を引き出そうと躍起になる。 「あっ・・・やばい、これっ、すげぇ!ぎもぢいぃ!」 何度も何度もお尻から出し入れされるディルドは、 次第に泡立ったローションのせいで真っ白になっていく。 月光で、飛び散る汗とローションが生々しく映り、 俺は、自分のズボンの中で大きくなる俺自身の痛みすら感じられなかった。 「おれ……こんな変態ぃっになるつもりっぐぅっ!なかったのにっ!!あぁあやばい!これやばい!くる!」 次第に絶頂を迎えようとしていく。 弓なりになった腰が、彼の精を放つ準備をしている。そしてー 「くる!イクっ!イクゥゥ!!ンアアアァァッ!」 ──その細い体がびくんと跳ねた。 一回じゃない。何度も跳ねた。 白さを通り越した透明な液体が、 彼の目の前を放射状に飛び跳ねる。 「ふぁっ……俺、こんなに、出したのか……ハハッ、やっべ……」 恍惚とした笑みで、腹の上に溜まった精液をすくいあげ、笑みを浮かべる青年。 ……だめだ、これ以上は見ていられない。 いや、見たい。だが、彼のためにも、俺のためにも良くない。 身体が勝手に後ずさり、木陰から離れる。 けれど心は、そのまま彼に引き寄せられていた。 後ろ髪を引かれながらも、森の出口へ足を向ける。 だが──。 なぜだろう。 心臓の鼓動が速すぎる。 息が整わない。 脚が勝手に止まった。 「……あのまま帰るのか、俺……?」

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