75 / 78
番外編 巣作りオメガと初夜♡(3)★
「も、でちゃう……っ、あ、あぁ!」
あっけなく限界を迎え、口内へと熱を吐き出す。
湊は口を離そうとはしなかった。それどころか、最後の一滴まで搾り取ろうとするかのごとく、きつく吸い上げてくる。
そうして顔を上げたのち、ゆっくりと喉仏を上下させたのだった。
「春陽さんが出してくれたの、嬉しくて飲んじゃった」
口端から垂れる白濁を手の甲で拭い、さらりと言ってのける。声色は依然として甘いものの、いたずらっぽさを通り越して、嗜虐心が滲んでいるように思えた。
春陽は肩で息を繰り返すが、呼吸すら整わぬうちにも、体内に埋め込まれていた指が再び動き出す。
腹側のしこりのある場所を指圧されるなり、たまらず腰が浮き上がった。
「んうっ……!」
達したばかりの身体は、些細な刺激でさえも鋭敏に感じ取ってしまう。
ましてや、そこは春陽の弱い場所だ。緩やかに撫でられただけでも、腰の震えが止まらなくなる。
しかし、どうしようもなく身体の奥が疼きっぱなしだった。
触ってほしいのはそこじゃない。湊に愛してもらいたい場所があるはずだ――早く、早く欲しい。
どこからともなく声が聞こえてきて、春陽は突き動かされたように、湊の身体へと抱きついていた。
「おねがいだから……湊くんの、ちょうだい? おなか、せつない……っ」
つい涙まじりの声になってしまった。もう挿 れてほしい、これ以上は待てないのだと。
かたや湊は指を引き抜いて、苦笑を浮かべてみせた。
「ごめんね、調子乗った。……俺も我慢しすぎて、ちょっと痛くなってきたとこ」
そっと触れ合った自身は、ジーンズの中で窮屈そうにしていた。
湊は静かに身を離すと、ようやくTシャツを脱いで上半身裸になる。それから、ベルトへと手をかけた。
カチャカチャと金属音が鳴り響くなか、春陽はごくりと生唾を飲み込む。前を寛げ、下着の中から顔を覗かせたものの存在に、大きく目を見開いた。
まさに男根。赤黒くそそり勃った陰茎は、自分のそれとはまったくの別物だ。
「ゴム付けるから待ってて」
湊はそう言って、ベッドサイドに置いてあった小箱に手を伸ばした。
驚くべきことに、それは湊がバッグの中に忍ばせていたものだった。パッケージを破って避妊具を取り出すと、不慣れそうな手つきながらに自身へ装着する。
春陽にも息をつく余裕ができたせいか、相手もまた同じように緊張しているのだと、ここにきて気づかされた。
そのようなことを意識させないふうの顔をして、湊はこちらへ向き直る。
「春陽さん、いい?」
顔を覗き込まれながら、低く訊ねられる。
少しの逡巡のあとに、春陽は「待って」と言って、身体を反転させた。
「後ろからが……いいな」
ベッドの上に散らばった、湊の衣服。その中心で膝を立てるようにして、四つん這いになる。
春陽の秘所は、湊を誘うかのようにヒクヒクと収縮を繰り返して、はしたなくも体液を垂れ流していた。
熱い視線を感じて、羞恥心が掻き立てられるようだったけど、なりふりなど構っていられない。
待ちきれずにもじもじとしていると、湊がそっと腰に手を添えてきた。そして、熱く滾った切っ先を宛がってくる。
「挿 れるよ」
「ん、きて――」
短いやり取りのあとに、くちゅり……と卑猥な水音が響いた。
柔らかな蕾が凄まじい欲望を受け入れ、ゆっくりとその身を呑み込んでいく。指とは比べ物にならない質量に、春陽は縋るようにシーツを握りしめた。
「っは……あ、ん」
「きっつ……春陽さん、大丈夫?」
「だいじょうぶ、だから……おねがっ、もっと」
慎ましやかだったそこは、いまや極限まで広がっていた。
それでも春陽は、湊のものを受け入れたくて堪らなかった。自ら腰を揺すって、吐息まじりに懇願する。
湊は少し躊躇っていたようだったが、やがて意を決したように腰を進めてきた。
ともだちにシェアしよう!

