fujossyは18歳以上の方を対象とした、無料のBL作品投稿サイトです。
私は18歳以上です
闇に堕ちて消えるまで #01 | 春日 梨夜 かすがりやの小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
闇に堕ちて消えるまで
#01
作者:
春日 梨夜 かすがりや
ビューワー設定
2 / 8
#01
望月 飛鳥
(
もちづき あすか
)
は教室で騒ぎ立てるような派手で奴でも、教室の隅で縮こまってるような奴でもない、本当にどこにでもいる普通の奴だった。 仲良くなったきっかけは体操服を忘れて焦る自分に 『具合悪くて体育休むから使って』 と話しかけてきたこと。 洗って返すとかそのままでいいとか、どうでもいい話の中。 そんなやりとりをする空気感が心地よくて、なんとなく雰囲気で“こいつとは仲良くなれそう”と思ったのが最初だった。 一緒にいて妙に落ち着く独特な雰囲気を持つ飛鳥と親友と呼べるような仲になるまで、時間はそんなにかからなかった。 気付けばいつでも一緒にいたように思う。 学校へ来たらくだらない話をして、一緒に昼飯を食って、放課後は教室に残って一緒にテスト勉強をした。 帰りの方向が途中まで一緒で、帰り道コンビニで夏はアイスを買い食いしたり、冬はあったかい飲み物を片手に肉まんを食ったり、おでんを食ったり。 とにかく普通の毎日を送ってきた。 飛鳥の席は俺の席から見える3つ前の列、斜めに位置した場所。 今朝から飛鳥の姿が見えない。 休みなのか寝坊なのか分からないまま一限が終わる。 「せんせー、飛鳥やすみ?かぜー?」 「休み。病欠。」 へー、なんて興味ないような返事をして席へ戻る。 ――今日休みなんだ、つまんね。 飛鳥は時々学校を休む。 一言メッセージくらいいれてくれてもいいのに、と思いながら飛鳥の席から視線を前に戻して携帯を取り出す。 <風邪?だいじょぶー?飛鳥いないとさみしー。> それだけ打って送信。 すぐに携帯が震えて返信が来る。 <明日には行けると思う。学校頑張って。> そっけない返事。いつも大体こんなもん。 さみしー、には言及されず携帯をポケットへ戻した。 彼女に告白された当日はなんとなく言えなかった。 なんとなく気まずくて教室に戻ったとき、苦笑いしかできなかった。 同じような顔で笑う飛鳥を見て少しだけ、本当に少しちくりと心が針で刺されたような小さな違和感。 今日学校に来たら告白されたことを自慢してやろうと思ったのに。 ――なんて本心じゃない。 自分の心に嘘をつかないと、飛鳥と親友のままでいられない気がした。 来ないことがさみしい、なんてそんなことを思うのは仲がいいから。 親友以上の関係なんて何も望んじゃいない。 自分の心に生まれた少しの違和感。 その違和感に蓋をして気付かないふりをした。
前へ
2 / 8
次へ
ともだちにシェアしよう!
ツイート
春日 梨夜 かすがりや
ログイン
しおり一覧