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暁斗の言葉に、昴の顔はどんどん真っ赤に火照っていった。
わなわなと震える唇からようやく絞り出した声は、すでに悲鳴だ。
「失敬な! 僕は、暁斗の主だよ!? 藤原家の、子息なんだよ!?」
身分違いの執事が、主と同衾なんてありえない。
大好きな相手に、一足飛びにベッドへ誘われた。
身の程を知れ、という思いと、心の準備ができていない、恥ずかしさ。
かんかんに沸騰している昴に、暁斗は喉の奥で小さく笑いながら訂正してきた。
「そうではなくって。一緒に遊郭へ遊びに行きませんか、という意味です」
「あ……」
血が一瞬にして引いた後、再びものすごい勢いで顔に昇ってきた。
お子様扱いされて、からかわれた事に、昴は今ようやく気が付いたのだ。
耳まで赤くして、目からは涙が滲んでくる。
「もう……もう、知らない!」
「昴さま、失礼しました。では改めて、今度……」
「暁斗のバカ!」
昴は暁斗の声に耳を貸さず、走ってその場から逃げた。
放牧場の柵から離れ、EⅤ車に飛び乗り、思いきり飛ばした。
出力最大で馬場を横切り、広場を通り、屋敷へ向かった。
車から降りても、昴は全力で走った。
階段も二段飛ばしに駆け上がり、自分の部屋へと飛び込んだ後は寝室へ駆け込み、そのままベッドへ身を投げ出した。
枕を殴り、蹴飛ばして八つ当たりをした後。
「ホントにもう、暁斗のバカ!」
そう罵って、ふて寝した。
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