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 外見が綺麗な人間なら、いくらでもいる。  そのような者たちは、自らの美しさに気を取られ、見た目を磨くことだけに一生懸命だ。  だが、昴は違う。  美しい中に、気高さを持っている。  藤原家の人間としての、誇りと責任感。  その内面から、輝くばかりの美しさを放っている。  そして、そんな近寄りがたいほど美しい彼が時折見せる、可愛らしさも好きだった。  今日だって、そうだ。  馬の交尾を見た時の、慌てようときたら!  彼はまだ心に、どこか幼い、無垢な部分を残しているのだ。  人間は、完全無欠ではない。  どこかしら、欠けた部分を持っている。  そして誰かと寄り添い、互いに欠けた部分を埋めあっていく。  それがまた、人間というものだ。  暁斗は昴に、自分には無い欠けた部分を、感じていた。

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