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「冷えるといけません。これを羽織ってください」
暁斗はそう言うと、自分の浴衣を脱いで昴に掛けた。
「ぶかぶかだ」
昴は、浴衣を握りしめて深く息を吸った。
(暁斗の匂いがする)
それだけで、甘い思いが再び高まってくる。
浴衣を脱いだ暁斗は、下着一枚の姿だ。
昴の痴態にすっかり興奮しきった暁斗の前は、布を持ち上げ張りつめている。
だが彼は、そのまま昴の隣に横になった。
「さあ、もう寝ましょう」
「うん……」
本当は、尋ねたかったのだ。
僕ばかり、悦い思いをしてもよかったのか、と。
暁斗は、射精してはいないのだ。
(僕が、初めてだったから。だから、無理に最後までやらなかったんだ)
そう考えると、昴はつい口走っていた。
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