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キスは想定外、と慌てる昴を置いて、暁斗はその指を咥え込んで吸い、指と指の間をじっくりと愛撫する。
その白い腕を両手で撫でさすりながら、舌を伸ばして這わせてくる。
キスを落とし、舌で舐め、どんどん上へと昇ってくる。
昴は、されるがままだった。
体が次第に火照っていく。
(……嫌じゃない!)
気持ち悪くもないし、不愉快でもない。
暁斗にこうされるのは、悪くない。
ただ、少し怖い。
どんどん僕の体の中に、心の中に暁斗が入り込んでいっぱいにしてしまうのが、少し怖い。
「バラの香りがします」
暁斗はそう囁いて、ついには柔らかな脇の肉を甘噛みした。
「ぁんッ!」
跳ねるような、昴の甘い悲鳴。
それを合図に、暁斗は彼の腕から離れていった。
「これで帳消しです。司書のことは、忘れましょう」
そして、まるで何もなかったように酒を口にする。
僕はこんなに熱いのに。
(胸がドキドキして、張り裂けそうなのに!)
その時、昴の脳裏にフラッシュバックのように走った光景があった。
それは、怒ったまま立ち去る自分自身の姿。
高すぎるプライドが邪魔をして、素直になれない昴の過去。
(これじゃ、ダメなんだ。このままじゃ、いけないんだ!)
勇気を振り絞り、昴は姿勢を直した。
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