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「暁斗……」
「何でしょうか」
ほぅ、とまだ興奮の冷めない熱い息を吐いて、昴は切れ切れにささやいた。
「そのうち、僕も暁斗のものを、飲むことが、できるようになるかな」
「そんな事は、昴さまにさせられません。私が好きでやったことです」
「暁斗は、あんなものを飲むのが、好きなのか?」
「昴様のものだから、飲んだのです」
そこで、昴は暁斗の目を覗き込んできた。
雲が月にかかったのか、わずかに光が弱まった。
「なぜ、僕のものなら飲めたんだ?」
少し考えた後、暁斗は先程の昴の言葉をそのまま返した。
『僕は、暁斗のことが好きなのかな』
こんな問いかけをしてきた、昴。
暁斗もまた彼を真似て、言った。
「私は、昴さまのことが好きなのでしょうか」
見つめてくる昴の目が、円くなる。
暁斗の頬が、熱を持った。
(月が陰ってくれてよかった。こんな事、明るい中ではとても言えない)
照れた暁斗への昴の返事は、嬉しいものだった。
「僕は暁斗が……好きだ、と思う。多分……」
「ならば、私も昴さまが好きなのでしょう。多分」
昴と暁斗は顔を見合わせ、微笑んだ。
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