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『明日の夜も、会ってくれるかな』
『申し訳ございません。明日の夜は、所用がございます』
昴と暁斗は、こんな会話を昨日したのだ。
今夜、暁斗には何か用事がある。
(でも、離れたくない)
このままずっと、一緒にいたい。
そう、昴は強く思った。
そこで勇気を出して、彼に訊ねることにしたのだ。
「暁斗。今夜は、やっぱり用がある? だったら僕は、自分の部屋へ戻るけど」
勇気は出したが、素直さが足りない。
(一緒にいたい、と言えればいいのに……!)
そっと唇を噛む昴に、意外な言葉が返ってきた。
「いえ、用は無くなりました。今夜は、昴さまと共にいたいと願います」
暁斗の返事に、昴は目を円くした。
まるで、こちらの考えを読んでいるかのような事を言う。
嬉しさが込み上げてくるその時に、彼はさらに昴を驚かせてきた。
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