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 濃厚な前戯を施しながら、暁斗は逸る気持ちを必死で抑えていた。  まだだ。  まだ、早い。 (絶対に、この方を怯えさせるような真似は、してはならない)  昴の呼吸をはかり、体の震えを感じ取りながら全身を、それこそ足の先までしゃぶった。 「あぁ……」  切なげな、昴の甘い声。  耳に心地よく聞きながら、暁斗は愛する人を悦ばせる幸福に浸った。  昴の上に被さり、性器どうしを擦り合わせて、昂ぶりを上げていく。  暁斗の蠢きに併せるように、昴もぎこちなく動き始めた。  そうしながら、何度も何度も口づけを交わした。  やがて、唾液の水音に混じって、性器から漏れ出た露の音が響き出す。  暁斗のものからも、昴のものからも、たっぷりと溢れてくる。 「んっ、んぁ。はぁ、はぁ、あぁ……」  くったりと力の抜けた昴の両脚が、暁斗の手で大きく開かれた。  秘所が露わになり、暁斗はそこに艶のある光を見た。  オメガの愛液で、潤っているのだ。  粘液は寝室の照明を反射して、誘うように光っている。 「昴さま。こんなに、濡れて……」 「や、やだっ! 見ないでよ!」  昴は羞恥に顔を背けたが、暁斗の指先が触れてきた。

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