94 / 226
36
「申し訳ございません! つい、嬉しくて。色々と……考えてしまいました!」
「嬉しかった?」
「はい」
「僕と一つになれて、そんなに嬉しかった!?」
暁斗の一言で、すっかり機嫌を直した昴だ。
もう、ニコニコしながらパンをちぎって、口に運んでいる。
ふんふんと、鼻歌さえ聞こえてきそうだ。
暁斗は、ホッと一安心した。
安心したので、再度ぶちかました。
「では、今夜もよろしいですか?」
「え、今夜?」
待て待て待て、と昴は両手を上げて激しく振った。
「ダメ! 無理! 毎日なんて、体が持たないよ!」
「あの、その……」
「僕が、いいよ、って言った日だけ!」
「しかし……」
「ダメ、絶対!」
昴の全力拒否に、暁斗は諦めた。
(これは……将来、尻に敷かれるかも)
そう感じたが、次の瞬間には、こんなことを妄想した。
(あんなに綺麗な尻になら、いくらでも敷かれてみせよう)
懲りずにスケベな妄想に耽った。
「暁斗、カフェオレが水っぽいから淹れなおして! コーヒー豆は、ちゃんと深煎りを使ってる!? コーヒーと牛乳は、1:2の比率で!」
「すでに尻に敷かれている私が、ここに居る……」
「何か言った!?」
「いいえ、何にも」
暁斗もまた、ご機嫌だった。
ともだちにシェアしよう!

