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暁斗がそっと寝室を覗くと、ベッドに昴が横たわっていた。
すでに、その白い滑らかな素肌を惜しげもなくさらし、掲げた片手を握ったり開いたりしている。
ドアの開く気配に、顔だけこちらに向けて見せる。
手には、カミツレソウの花束が。
そして昴は、それを大切にていねいに、サイドテーブルに飾った。
開け放たれた窓からは、もう温んだ初夏の風がそっと忍び込んでくる。
今年初めての、地虫の鳴く音が運ばれてくる。
「暁斗」
甘い息を吐くような、誘う声。
麗しいバラの花を愛しみに、暁斗はベッドへ上がった。
すると、暁斗の首に腕をまわし、昴の方から口づけを求めてきた。
軽くついばんだ後、深く貪ると、その吐息はバラの香りがした。
あれだけエビをつまんでおきながら、バラの匂いがするとは。
今更ながら、暁斗は昴とバラの花との深い結びつきを味わった。
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