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昼、食事を終えて自室から出た暁斗は、回廊を曲がった所でいきなり昴に出くわした。
(寝癖は、もう大人しくなったようだな)
そうは言っても、我が主のご機嫌はいかがなものか。
暁斗が考える前に、昴の方が先に動いていた。
「暁斗!」
暁斗の腕に手を絡ませ、ニコニコと見上げてくるではないか。
その笑顔は、実に明るく朗らかだ。
今朝の不機嫌は、どこへ行ってしまったのやら。
しかし暁斗は、そんな疑問より昴の笑顔につい見蕩れた。
(さすが、社交界の星と謳われる御方だ。何て素敵な笑みだろう)
すると昴は、おまけにこんなことまで言い出した。
「今夜、暁斗の部屋へ行ってもいいかな?」
(これは一体。本当に、どうしたことか)
朝の不機嫌モードは、綺麗さっぱり消えているらしい。
「何か、良い事でもございましたか?」
「まぁ、ね」
ふふん、と得意げに鼻を鳴らす昴が愛らしい。
暁斗は一も二もなく、ぜひお越しください、とこちらも笑顔で返事をした。
それを聞いた昴は、楽しみだな、と鼻歌を歌い出す。
人目を忍んで、素早く軽いキスをした二人は、上機嫌でその場を別れた。
互いに、今夜の逢瀬を楽しみにしていた。
昼に会った昴は、こんな調子だった。
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