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 そして、夜。  朝、不機嫌だった昴。  昼、上機嫌だった昴。 「果たして、夜の顔はどんな風だろうか」  そんなことを考えつつ、暁斗は自室の窓辺にソファを動かし、くつろいでいた。  空には、月。  手には、杯。  一人で一献傾けながら、昴を待っていた。 「暁斗」  しっとりと優しい呼びかけが聞こえ、暁斗はすぐに振り向いた。  待ち焦がれていた、愛しい昴がやって来たのだ。  だがその声は、曇っていた。  夜の昴は、悲しそうだった。  こつりこつりと、床を踏む音。  その足取りも、やたらゆっくりで。  重い足を、ひとつふたつと動かしながら、やって来る。  そんな彼を心配し、暁斗は自分から声を掛けた。

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