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「どうなさいました」
「……」
返事が、無い。
返事はしないが、昴は暁斗の隣に腰かけた。
少し、間を開けて。
もっと寄り添うようにと、暁斗は彼の肩を抱き、自分の方へ引き寄せた。
やけにぐったりとして、逆らう素振りも見せない昴だ。
その力の無さに、暁斗の不安は募った。
「どう、なさいましたか?」
そこで彼は、さっきより少し声に色を付けた。
低い、柔らかな響き。
そんな暁斗の声が、昴は大好きだ。
聞けば、ほっとする。
心が、ぽかりと温まる、優しい声。
しかし、今夜はそんな優しさが、昴には逆に悲しかった。
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